富士通が富岳NEXTの基本設計を受注

富士通は6月18日、理化学研究所(理研)よりスーパーコンピュータ(スパコン)「富岳」の次世代機となるフラッグシップスパコンシステム(開発コード名:富岳NEXT)における全体システム、計算ノード、CPUの基本設計を受注したことを発表した。

AIの活用がさまざまな分野で進む現在、科学分野でもAIの活用に向けた取り組みである「AI for Science」の潮流が世界的なものになりつつある。理研でも、この世界的な潮流に乗り遅れることなく、計算基盤の整備と高度化に向けた取り組みを進めてきており、富岳の後継機となるスパコンには、そうしたニーズに対応する性能が求められている。

2nmプロセスに独自の3Dパッケージを組み合わせたCPUの開発を予定

今回、富士通が受注した富岳NEXTの基本設計では、現在、稼働しているスパコン「富岳」で培った性能追求の知見に加え、現在開発中のTSMCの2nmプロセスを用いて製造される汎用CPU「FUJITSU-MONAKA」で適用する先進的な技術を融合・進化させて盛り込むほか、GPUなどアクセラレーターとの連携により、多様な需要変化にも柔軟に対応できるシステムを目指すとする。

特にFUJITSU-MONAKAについては、現在の最先端となる2nmプロセスでの製造に加え、最新の3Dパッケージ構造に最適化したマイクロアーキテクチャ、超低電圧回路動作技術といった同社の独自技術を適用することで、エッジコンピューティングからデータセンターまで、次世代コンピューティングに求められる多様な用途において性能と省電力を両立し、安心安全、使いやすさといった価値の提供を目指しており、富岳NEXTには、そうしたFUJITSU-MONAKAの後継CPUである「FUJITSU-MONAKA-X(仮称)」を搭載する計画としている。FUJITSU-MONAKA-Xは、富岳で開発されたアプリケーション資産の継承と高速化を実現するとともに、最先端のAI処理加速機能を搭載することでAI処理需要に応えることを目的として開発されるとのことで、単に富岳NEXTへの搭載のみならず、社会や産業を支える幅広い分野で活用されることを想定したものになるとしている。

なお、富岳NEXTの基本設計にかかる期間は2026年2月27日までが予定されている。