樹脂モールド構造かつワイヤーボンディング対応のパワー半導体用NTCサーミスタを開発
村田製作所は、樹脂モールド構造かつワイヤーボンディング対応のパワー半導体用NTCサーミスタ「FTIシリーズ」を商品化したことを発表した。
近年、自動車のエレクトロニクス化の潮流により、高出力かつ高効率なパワー半導体が重視されるようになっているが、そうしたパワー半導体は発熱量が大きく、高温による破損リスクが課題となっている。そのため、解決するソリューションとして、パワー半導体の温度上昇を検知するサーミスタを設置し、冷却や動作制限を行う手法が採用されているが、従来のサーミスタでは、プリント基板上で半導体を実装するランド(半導体のピンを挿入してはんだ付けする部分)にかかる高電圧に耐えられず、半導体の設置位置から離れた場所に設置する必要があったため、半導体の正確な温度検知が難しく、高温による半導体の破損を防ぐために実際の耐熱温度より低い温度で動作制限をかける対策を施す必要があり、半導体の性能を十分に発揮させることができないという課題があったという。
同製品は、そうした課題を解決することを目的に開発されたもので、樹脂モールド構造とすることで、絶縁性を確保し、パワー半導体用のパッド上に直接配置することを可能としたとするほか、ワイヤボンディング対応によって、サーミスタ用のパッドと接続することも可能とした。
そのため、パワー半導体近傍での正確な温度検知を実現することができるようになったとするほか、使用温度範囲も外部電極との高信頼性接合技術を採用することで-55℃から+175℃まで保証しており、幅広い温度で安全性を確保しつつ半導体の性能を引き出すことができるようになるため、パワー半導体の数を減らしても従来と同等の性能を維持でき、実装面積やコストの削減を図ることができるようになるとする。
主な用途は自動車のパワートレイン
なお、同社では同製品について、発熱量の大きい自動車のパワートレイン用途に適していると説明するほか、今後、多様化する市場ニーズに対応し、サーミスタの抵抗値ラインアップ拡充や、従来のはんだ実装に加え銀焼結実装対応のサーミスタ開発に取り組んでいくことで、電気自動車(EV)をはじめとした半導体アプリケーションの高機能化を実現していく方針としている。