ベルギーimecとオランダ政府の研究機関であるTNO(応用科学研究機構)は、オランダのアイントホーフェンにフォトニクス(光電融合)の研究開発の先端施設「Holst Centre Photonics Lab」を開設したことを発表した。
同ラボは、フォトニクスの研究を推進し、産学連携を促進することで、自動車、ヘルスケア、データ通信などの分野におけるアプリケーションの研究と実用化のギャップを埋めることを目指して、PhotonDeltaの資金提供を受ける形で、オランダのHigh-tech Camps Einthoven(Philips中央研究所および半導体開発・試作施設跡地)内に設置されたという。
PhotonDeltaは、オランダの経済力強化のために設置されている「National Growth Fund(オランダ国家成長基金)」を主な財源として、民間からの資金を合わせて2018年に設立されたフォトニクスの技術発展、人材育成、国際協力推進のための非営利財団。一方のHolst Centreは、imecとTNOが2005年に共同でアイントホーフェンに設立した研究所で、imecのオランダ研究支所という位置づけでもある。
フォトニクスのイノベーションを加速
同ラボの開設は、オランダのフォトニクス集積回路イノベーションへの取り組みにおける重要な節目となるとする。
オランダにおけるフォトニクスの研究開発を2年半以上推進してきた国家成長基金計画イニシアチブを基盤とし、テープアウト検証、オンチップレーザー開発、システムテスト、アプリケーション検証といった分野におけるimecの専門知識と、レーザー特性評価、自由空間光学、フォトニックチップのLSIへの集積といったTNOの強みを組み合わせることで、同ラボはイノベーションチェーン全体にわたる相互補完的な能力を有しており、最先端研究のための基盤に確立と、産学間の戦略的連携を促進することを目指している。
オランダのフォトニクスエコシステムの強化
フォトニクス集積回路(PIC)は、自動運転車や非侵襲性医療診断におけるLiDARから、高速データ通信や環境センシングに至るまで、幅広い新興アプリケーションの中核を担う存在として期待されているが、同ラボでは、コネクティビティや量子技術、ヘルスケア、農業食品、データ通信、自動車といった分野におけるイノベーションを推進するために必要なインフラを提供することを目指している。