ジャパンディスプレイ(JDI)が5月15日、2024年度(2025年3月期)の決算を発表した。

JDIの2024年度の純損失は約782億円で11年連続の赤字を計上

それによると、売上高はスマートフォン(スマホ)向け液晶分野の戦略的縮小ならびにVR・スマートウォッチ向け液晶パネルの需要減などの影響から前年度比21.4%減の1880億1200万円となったとする。

また、営業損失は、売り上げの減少に伴う利益の減少については、工場の売却やパネル生産の終了などによる固定費削減や製品ポートフォリオ改善効果によりほぼ相殺できたとするが、売上規模の縮小に伴う固定費率の上昇や部材費・加工費の上昇から、同341億4500万円から370億6800万円へと拡大したほか、純損失も同443億1300万円から782億2000万円まで拡大し、11年連続の赤字計上となった。

赤字幅が拡大した背景について同社は、2024年4月に建物譲渡を完了した旧東浦工場に伴う固定資産売却益として18億3000万円の特別利益として計上した一方、茂原工場のeLEAP生産設備を主とした減損損失として215億6300万円、茂原工場の生産終了決定に伴う事業構造改善費用として134億1800万円、および2025年3月の鳥取工場でのパネル生産終了に伴う事業構造改善費用として32億7500万円の特別損失を計上したことなどを理由として挙げている。

  • JDIの2024年度決算概況

    JDIの2024年度決算概況 (出所:JDI、以下すべてのスライド同様)

市場の減速影響で各アプリ分野ともに減収を記録

アプリケーション別に見ると、車載分野の売上高は収益改善を図るため低採算品からの撤退を進めた影響から同5.5%減の1258億5700万円となったという。また、スマートウォッチ・VR関連分野の売上高は、スマートウォッチ用有機EL(OLED)の需要が減少したことなどの影響から、同27.1%減の535億6600万円となったという。

このほか、スマホ向け液晶分野の売り上げについては、エンジニアリングリソースなどの経営資源をコア事業の次世代製品に集中させるなど、戦略的に事業縮小を進めた結果、同73.5%減の85億8900万円となったとする。

  • 各事業の売上高概況
  • 各事業の売上高概況
  • 各事業の売上高概況
  • 各事業の売上高概況

国内で1500名程度の希望退職者募集を計画

同社は、こうした業績を踏まえ、国内の従業員を対象とした希望退職者の募集ならびに海外子会社の従業員の削減を行う計画であることを明らかにしている。

国内については、1500名程度の人員を削減する予定で、退職希望者には退職金規則に定める退職金に加え、退職加算金を支給するほか、希望者に対しては再就職の支援を行うとしている。また、海外子会社については、各国の労働法に準じる形で、国内と同様に各子会社の人員の削減を進めて行くとしている。

なお、今回の人員削減に伴い、退職加算金などの費用として同社では約95億円を見込むとするが、1500名程度の人員削減が進むことで、年間約135億円の人件費を削減できるとの見込みを示しており、生産拠点の石川工場への集約ならびに半導体後工程を含むMULTI-FAB化、センサービジネスなどを含むび BEYOND DISPLAY戦略の進展などを含め、2027年3月期からの連結営業利益の黒字化を目指すとしている。

  • BEYOND DISPLAY戦略のイメージ

    BEYOND DISPLAY戦略のイメージ

  • 黒字化に向けた道筋

    黒字化に向けた道筋