Lam Research(ラムリサーチ)は5月14日、新たなプラズマプロセスなど新技術を採用したコンダクターエッチング装置「Akara」を発表。それに併せて、同社の日本法人オフィスにて技術概要の説明が行われた。
半導体プロセス微細化とともに進化してきたエッチング装置
コンダクターエッチングは、半導体デバイスの製造における成膜されたメタルやシリコンなどの不要な材料を除去するエッチング技術。ラムリサーチでは、「Kiyoシリーズ」というエッチング装置を2004年にリリース、以降、世代を経るごとに機能改善を繰り替えしており、これまでに累計3万モジュールが世界の半導体工場で活用されているという。
その一方で、半導体はプロセスの微細化だけによる性能向上に限界を迎え、NANDやDRAMは3Dの積層化、ロジックはトランジスタ形状を従来のプレーナー型から、FinFET、そして2nmプロセス以降はGAA(ゲートオールアラウンド)へと形状を変化、将来的にはCFETへと進化することも見込まれている。
3つの新技術の搭載により、高精度な加工を実現
Akaraは、こうした技術の複雑化に対応するコンダクターエッチング装置と位置付けられている。その特長は、Kiyoから進化したSense.iの成果を踏まえ、「DirectDrive」と同社が呼ぶプラズマ制御を根本的に見直して新たに開発したソリッドステート・プラズマ源を採用することで、プロセスの制御性と応答性を向上させた。ICP(誘導結合プラズマ:Inductively Coupled Plasma)であることは変わりはないが、従来はソースから効率よくRF信号を送るために必要な整合器(マッチャー)を介していたが、DirectDriveではマッチャーを廃することで、プラズマが安定するまでに必要としていた時間を従来の秒単位からミリ秒単位へと短縮することを可能としたとする。
また、高い選択比を実現するとともに、さらに深さ方向にも高い均一性を実現した技術「TEMPO(Time and energy multiplexed pulsing operation)」と、イオンエネルギーを高精度に制御し、原子レベルの再現性やばらつきを実現した技術である「SNAP(shaped nanosecond advanced pulsing)」という2つの技術も併せて搭載しており、これら3つの技術を組み合わせることで、将来的なデバイスである3D DRAMやCFET、より細い線幅での加工が求められる3D NANDなどの加工に対応することを可能にしたという。
微細プロセスでも良好な加工精度を確認
これにより、例えば3D DRAM構造の場合、深さ9μmのトレンチエッチングを上から下までほぼ線幅に差がないような一定の形状で加工することを実現したとするほか、CFETについても、各レイヤ間に入っている濃度が異なるGeを平坦に加工することができることを確認したという。