ルネサス エレクトロニクスは5月14日、インド政府の電子情報技術省(MeitY:Ministry of Electronics & Information Technology)と提携し、VLSIおよび組み込み半導体システム分野において、インドのスタートアップや教育機関を支援することを発表した。
併せて、インドでのR&D人員の増加に対応するため、カルナータカ州ベンガルールおよびウッタル・プラデーシュ州ノイダの同社オフィスを拡張したことも発表した。
インドでの半導体関連産業の育成をルネサスが支援
今回の提携は、ルネサスとMeitY傘下の主要な研究開発機関である「先進コンピューティング開発センター(C-DAC:Center for Development of Advanced Computing)」は、2021年12月にインド政府によって開始された、国内の半導体およびディスプレイ製造を促進するためのイニシアチブであるMeitYの「C2S(Chips to Startup)プログラム」の下、2025年5月13日付で2件の基本合意書を締結したというもの。
これら基本合意書は、「現地のスタートアップを支援し、インド政府が掲げる施策「Make in India」に沿った国内製造業の振興と技術革新を促進すること」ならびに「産学連携を強化し、学生の革新的で製品志向のマインドセットを育成すること」の2つを目的としたものだという。
C2Sプログラムは、インド全土の250以上の教育機関および研究開発機関(インド工科大学、国立工科大学、インド情報技術大学、その他公立および私立大学を含む)と、スタートアップ約15社との連携を図るもので、インド国内のイノベーションのためのエコシステムを構築することを目指している。今回の基本合意に基づき、ルネサスは自社の開発ボードとPCB設計ソフトウェアである「Altium Designer」を提供することで、インドのスタートアップの製品エンジニアリング能力の強化を支援するほか、これらの開発ボードやAltium Designerソフトウェア、Altium 365クラウドプラットフォームへのアクセス、そしてPCB教育やトレーニング機会も含めて教育機関に提供することで、インドにおける次世代のエレクトロニクスエンジニア育成を通じ、イノベーターのコミュニティ構築を目指すとしている。
ルネサスのインド最大拠点となったベンガルール新オフィス
ベンガルールの新オフィスは、同社のインド拠点としては最大規模のもので、世界クラスの設計チームからテストラボ、従業員をサポートする充実した設備を備えている点が特徴だという。エンジニアやコーポレートスタッフのほか、買収したAltiumおよびPart Analyticsの従業員など約500人の同社従業員が協力して革新的な製品の開発を推進していくことを目指すとする。
一方のノイダの新オフィスは自動車市場の成長を促すことを目的とした拠点となる。エンジニアとコーポレートスタッフを集結させ、現地人材の育成と車載用SoC「R-Carソリューション」の強化を図ることを目的としている。最先端のツールとワークフローが利用可能であり、グローバルのエンジニアリングチーム間のシナジーを高め、自動車向けというルネサスにとっての重要分野での長期的な戦略を下支えする役割を担うという。
全社売上収益の10%をインド向けとする目標を掲げるルネサス
なお、ルネサスでは、地元企業、スタートアップ、大学などの教育機関とのパートナーシップを深め、同社全体の売上収益の10%超をインド向けとする目標を掲げるなど、インドが重要な市場であるとの認識を示しており、2025年末までにインドの従業員数を1000人まで増員させることも計画している。