米商務省の産業安全保障局(BIS)は5月12日、バイデン前政権時に導入した半導体の輸出「AI Diffusion Rule(AI拡散規則)」の撤回を発表した。それに代わり、輸出規制を強化する措置も明らかにした。

将来的に代替規則を発行

AI拡散規則は各国を3つに区分し、それぞれに対してAIチップの輸出制限を設けていた。規制は1月15日に発表され、5月15日より施行に入ることになっていた。

トランプ政権の下、商務省はこれを撤回する。その理由として「米国のイノベーションを阻害し、企業に負担の大きい新たな規制要件を課す。数十カ国を第2階層のステータスに格下げするため、外交関係に影響をきたすものだ」などと記している。

BISは今後、AI拡散規制の取り消しを正式に決定する連邦官報告示を発行する予定で、将来的に代替規則を発行するとしている。

新たな措置として、Huaweiの「Ascend」については世界のどこであっても米国の輸出管理規制に反する、中国製AIモデルのトレーニングや推論に米国製AIチップを使用することの潜在的なリスクに警告するガイダンスの発行、中国企業がとる規制の迂回からサプライチェーンを保護する方法に関する米国企業向けガイダンスの発行などについて明らかにしている。

「今回の決定により、米国がAIイノベーションの最前線に立ち続け、世界的にAIの優位性を維持することが可能になる」と記している。