先端半導体人材育成の募集が開始
最先端半導体技術の研究開発と人財の育成を通じて、日本の半導体産業の持続的、自律的発展を担うことを目的とした技術研究組合「最先端半導体技術センター(LSTC)」とTenstorrentは5月7日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/人材育成(委託)」における「最先端デジタルSoC設計人材育成」事業の上級コースの受講生募集を同日より開始したことを発表した。
40nmプロセスでロジック半導体の微細化が止まった日本では、先端プロセスに対応できる半導体設計者や半導体製品開発に求められるアーキテクトの数が不足しており、その解決が求められている。
同事業は、半導体設計の基礎スキルから、製品を最適に動作可能とする高度なスキルまでをカバーした実践的な設計人材育成プログラムを提供することで、即戦力となる最先端半導体設計人材の養成を目指したもので、初級・中級・上級の3つの階層が提供される。中でも上級コースは、天才エンジニアとも呼ばれるジム・ケラー(Jim Keller)氏が率いるTenstorrentと協力し、米国での長期トレーニングが行われる予定のプログラムとなっている。
上級コースは米国で12~18か月のトレーニングを予定
この上級コースは、「開発プロジェクトを牽引するアーキテクト育成コース 」という位置づけで、書類選考や面接などを経たのち、2025年7月以降に講義および実習が開始される予定となっている。
具体的には、Tenstorrentの日本(東京)オフィスなどで3か月間の事前トレーニングを経て、Tenstorrentの米国拠点などで12~18か月間のOJT(On the Job Training)に参加することで、事業全体を俯瞰しながら1桁nmプロセスを用いた半導体やAIアクセラレータ開発などを行い、グローバルレベルの最先端SoC設計スキルや英語でのコミュニケーション力、グローバルなビジネスセンスを身につけた高度な半導体設計のできる次世代のエンジニア、アーキテクトの育成を目的としたコースとなっているという。
中級・初級コースは近日中の募集開始を予定
また、今回は上級コースの募集開始であり、初級コースならびに中級コースについては改めて近日中に募集開始の発表を行う予定としている。
中級コースは「28nmプロセス以降のスペシャリスト育成コース」という位置づけで、LSTCの組合員である東京大学ならびに産業技術総合研究所が運用するAIチップ設計拠点(AIDC)の半導体設計・検証環境とSoC設計資産を活用した、実践的な半導体設計技術者の育成を目的としたコースとなるという。
一方の初級コースは「最先端EDAツールのスペシャリスト育成コース」という位置づけで、SynopsysおよびCadence Design Systemsの先端半導体設計ツール(EDAツール)を使いこなせるスペシャリストの育成を目的としたコースとなるという。
受講の応募は専用Webサイトへの登録が必要
なお、これらすべてのコースについては、NEDOの事業として実施されるもので、受講料は免除(会場までの移動費などその他の経費については自己負担)される。応募に関しては、専用のWebサイト「ADIP(Advanced SoC Design Talent Incubation Program)」が公開されており、そちらでユーザー登録を行うことが必要となっている。