1.4nmプロセスを意味する「A14」を発表

TSMCは4月23日(米国時間)、米国にて「TSMC North America Technology Symposium 2025」を開催し、次世代の最先端ロジックプロセス技術「A14」を発表した。

A14は、2025年下期に量産開始が予定される2nmプロセス「N2」および、その性能改良版で2026年下期より量産が予定されている「A16(=1.6nmプロセス)」の後継プロセスに位置づけられるもので2028年より量産を開始する予定で、より高速なコンピューティング性能と優れた電力効率を実現することで、AIによる変革を推進するという。

また、スマートフォン(スマホ)のオンボードAI機能を向上させ、よりスマートなデバイスにするといった性能向上も期待されている。A14プロセスの開発は順調に進んでおり、歩留まりも予定を上回っているという。

N2比でA14は、同一消費電力で最大15%の速度向上、または同一速度で最大30%の消費電力削減を実現するとともに、ロジック密度を20%以上向上させるとする。TSMCでは、ナノシートトランジスタ(Gate-All-Around FET)の設計と技術の協調最適化における経験を活かし、TSMC NanoFlexスタンダードセルアーキテクチャをNanoFlex Proへと進化させ、性能、電力効率、設計柔軟性の向上を実現するともしている。

  • TSMCのA14までのプロセスロードマップ

    TSMCのA14までのプロセスロードマップ (出所:TSMC)

HPC向けに進化するCoWoS

同イベントではA14に加え、ロジック、特殊技術、先端パッケージング、3Dチップスタッキングといった分野の新たな技術も発表している。これらはいずれもHPC、スマホ、自動車、IoTといった幅広いプラットフォームに貢献する技術となる。

HPCについては、HBMの進化に併せてCoWoS技術も進化させており、2027年に9.5インチレチクルサイズのCoWoSの量産開始を予定している。独自の先端プロセスと組み合わせることで、12個以上のHBMスタックを1パッケージに統合できるようになるという。

また、現行のCoWoSソリューションの40倍の演算能力を持つウェハサイズのシステムを実現するSoW-Xも発表。こちらは2027年の量産開始を予定している。

さらにCompact Universal Photonic Engine(COUPE)とのシリコンフォトニクス統合、HBM4向けN12およびN3ロジックベースダイ、回路基板上に独立した電源管理チップを搭載する場合と比較して5倍の垂直電力密度を実現するAI向け新型統合電圧レギュレータ(IVR)なども発表している。

さまざまなニーズに対応する先端プロセス各種も披露

スマホ向けには、最新世代の無線周波数技術「N4C RF」を発表。従来のN6RF+と比較して消費電力と面積を30%削減し、Wi-Fi 8やAI活用の完全ワイヤレスステレオなどの新規格の要件を満たすことを可能とした。2026年第1四半期にリスク生産開始を予定しているという。

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