ファウンドリ業界4位のGlobalFoundries(GF)と同5位のUMCが、中国ファウンドリの成熟ノードにおけるシェア拡大への対抗策として合併を検討していると4月1日付で海外メディアが報じている。

これに対し、UMCは合併についての否定的なコメントを即日出したが、翌日になり台湾メディアが事情に詳しい関係者の話としてGFがすでに台湾経済部(日本の経済産業省に相当)に合併の承認を求める動きを進めていると伝えたことで、エイプリルフールのネタではなく、現実に起こる話であることが示されることとなった。

台湾メディアによると、両社は何年も前から合併交渉を行っており、成熟ノードにおける中国の優位性拡大に対抗するために、最近この提案が再び議題に上がったという。

合併すれば世界2位のファウンドリに

もし、合併が実現すればファウンドリ業界が様変わりする可能性があると、台湾の半導体市場動向調査会社TrendForceが分析している

同社によると、2024年第4四半期のファウンドシェアはUMCが4.7%の4位、GFが4.6%の5位で、合併すると合計9.3%となりトップのTSMCに次ぐ2位にまでシェアを拡大することとなる(TSMC67.1%、Samsung8.1%、SMIC5.5%でUMCとGFはそれに続く)。

AIを追い風に先端プロセスノードが注目されるが、成熟プロセス(ノード)も消費者向け製品や軍事向けなどで依然として活用されており、合併がなされれば米国は成熟プロセスの製造、主要技術、および最終市場の需要を強力に掌握できるとみられている。

UMCとGFは、製品ポートフォリオと顧客基盤にほとんど重複がなく、それぞれ独自の強みを持っている。特に、UMCは22/28nmに注力しており、特殊な高電圧CMOSプロセスなども提供。一方のGFは12/14nmに注力し、Qualcomm、Broadcom、AMDなどの米国の大手顧客とともに5GやIoT市場で強みを発揮している。

この合併の動きは、米国が支援する戦略であり、SMICや華虹などの中国企業を抑制しながら、米国のファウンドリの影響力を拡大するものだとみられている。UMCは台湾のほか、日本、中国、シンガポールにファブを持ち、GFは米国、シンガポール、ドイツで事業を展開している。シンガポールについては、GFが2023年9月に新工場を開所させているほか、UMCも2025年4月に新工場の開所式を執り行ったばかりである。

合併には慎重な見方も

両社の合併が成功するかどうかについては、台湾の半導体業界は依然として慎重な姿勢を保っている。背景には、UMCがIntelと新たな12nmプロセスプラットフォームを共同で開発し、2027年にIntelのアリゾナ州の既存工場で生産を開始する計画があるためで、UMCはむしろIntel Foundryと合併(IntelによるUMCの吸収合併)すべきとの見方や、TSMCに次いでUMCまで(GFによる吸収合併により)米国に行ってしまうと台湾のファウンドリ業界が空洞化しまうと懸念する見方も一部から出ているようだ。

  • Intelが2024年2月に示した技術ロードマップ

    Intelが2024年2月に示した技術ロードマップ。UMCと協力して12nmプロセスを開発し製造する計画が記されている (出所:Intel)