大日本印刷(DNP)とUBEは3月24日、両社の合弁会社であるUBE科学分析センター(USAL)の取り組みとして、中長期的な市場拡大が見込まれる「半導体関連」ならびに「環境分野」における分析・解析の機能・サービスの強化を行うこと、ならびにUBEグループで培った素材分析・評価技術とDNPグループの加工技術という両社の強みの連動をさらに深め、素材開発から加工・製品化まで幅広い領域での課題解決を目指すことを目的に、2025年4月1日付で社名を「株式会社DNP科学分析センター」に変更することを発表した。
USALでは、これまでナノメートルスケールの構造解析に注力する形で、例えば燃料電池材料の微細構造がデバイスの性能に寄与することなどを解明するなどの成果をあげてきたという。今回の取り組みは、そうしたナノスケールのノウハウを半導体の微細化や3次元構造に応用することを目指したもので、新たにナノスケールでの観察に使用する断面試料作製(前処理)を高効率で行える装置の導入を実施。独自の分析・解析技術と掛け合わせて半導体デバイスの3次元構造の評価を行うことで、顧客の製品・技術開発の加速を支援することを目指すとする。
また、材料分析に関する長年の経験をもとに、半導体プロセスに使用するめっき液やフォトレジスト、研磨液、フィルムなどといったさまざまな材料の分析に関するソリューション型ビジネスの展開も図っていく予定としている。
さらに、施設そのものに関しても、DNPグループの情報セキュリティ関連のノウハウを導入することで、メーカー各社がより安心して依頼できる体制へと刷新を図っていくともしている。
一方の環境分野については、持続可能な社会の実現に向けた取り組みの一環として分析サービスの強化を実施。具体的には、さらなるリサイクル素材の活用に向けて、品質のバラツキや性能の劣化に関して、分子レベルからミクロな構造まで総合的に分析・解析し、課題の解決策を提案するサービスを提供することで、リサイクル素材がより広い用途で・より使いやすくなるようにユーザーを支援するとしているほか、カーボンニュートラル実現に向けて大気中のCO2や工場などから排出されたCO2を分離回収に用いる材料に対し、さまざまな環境での応用を想定した基礎評価を提供するとしている。また、さらなる技術深耕や基礎評価のラインアップの拡充を進め、分離回収の素材・デバイス・プラント設計につながる物性データの提供を目指すとするほか、これらの知見・ノウハウを通じて、CO2分離回収における分析・解析のデファクトスタンダードの構築も目指すとしている。