図研は3月24日、IBMと同社の基礎研究を担うIBM Researchが運営する研究開発コンソーシアムの1つである「AIハードウェア・センター」の会員として、その研究開発プロジェクトに参画する契約を締結したことを発表した。

同センターは、米国ニューヨーク州アルバニーに本部が設置されているAIを最大限に活用することを目指した膨大な処理能力と処理速度を実現する次世代半導体とシステム開発を推進する研究拠点。材料から半導体チップ、デバイス、アーキテクチャ、ソフトウェア・スタック全体まで、AIシステムを1から構築する全体的な研究アプローチにもとづき、広範なパートナーによるエコシステムを通して、次世代AIシステムの実現に向けた取り組みが進められている。

今回、図研は同センターの、先進的なAIアクセラレータ・アプリケーションのアーキテクチャ実現に必要な異種チップ統合パッケージングソリューション分野の研究開発プロジェクトに参画するという。その中でも、主に先端半導体向け三次元集積回路(3DIC)パッケージング設計とEDAワークフローの面での共同研究・開発を行うとしているほか、その研究開発の内容として、同センターのデジタルおよびアナログ・アクセラレータプロジェクトで研究されているディープラーニング・アクセラレータ・コアのプロトタイプを用いた実証と評価、ならびにその過程における半導体パッケージングモジュール内の複数のICダイの相互接続のための材料、プロセス、統合、組立方法の開発やモデリング、シミュレーション、ハードウェア評価による信頼性と性能の実証も含まれるとする。

図研の参画について、IBM Research AIハードウェア・センターのディレクターであるジェフ・バーンズ氏は、「チップのパッケージングとAIハードウェアのイノベーションを加速するために、図研と協力できることを嬉しく思う。これらの進歩は、AIの未来に必要な性能と効率を引き出す上で重要な役割を果たすだろう」とコメントを出している。

なお、図研では、3DICパッケージング設計にかかわる技術が、さまざまな分野での技術イノベーションを促す重要な技術基盤となるものと考え、その研究開発を進めているとするが、当該分野についてはさまざまな業界を含むコンソーシアムとのオープンな協調関係が必須との見方も示しており、今回の研究開発プロジェクトへの参画もその1つであり、今後もこうした協調を積極的に進め、これまで培ったエレクトロニクスシステム設計の技術のさらなる向上に努め、より多くの顧客にその技術を提供できるようにしていくとしている。

  • IBM Research AIハードウェア・センター

    IBM Research AIハードウェア・センターの内部の様子 (出所:図研/IBM)