マイナビが運営する総合転職情報サイト「マイナビ転職」は2月19日、給与アップと働き方改善、キャリア支援に取り組む優良企業を表彰する「マイナビ転職 BEST VALUE AWARD」の授賞式を東銀座・歌舞伎座タワー「マイナビ PLACE」で開催した。

記念すべき第1回目の大賞には、オンワードホールディングス、VISIONARY JAPAN、ゆめみの3社が選出、給与アップ優良企業賞、働きかた優良企業賞、キャリア支援優良企業賞には15社が選ばれ表彰された。

  • 左から、「マイナビ転職 BEST VALUE AWARD」大賞を受賞したオンワードホールディングス 代表取締役社長 保元道宣さん、VISIONARY JAPAN 代表取締役 小野恭佑さん、ゆめみ CHRO室 取締役 太田昂志さん

「マイナビ転職 BEST VALUE AWARD」とは?

「マイナビ転職 BEST VALUE AWARD」は、「マイナビ転職」が、よりよい職場と人手不足解消、求職者の給与アップのため、アドバイザーにワーク・ライフバランス 代表取締役社長であり文部科学省や経済産業省、内閣府などで委員を務める小室淑恵さんを迎え2024年6月より開始したプロジェクト「給与アップ応援宣言」より、給与アップに加えて働き方や生産性向上、キャリアサポートなどに尽力した企業を認定し顕彰する賞として創設された。

従業員の年収アップに対する取組みを評価する「給与アップ優良企業賞」、テレワーク、福利厚生・休暇制度などで従業員に快適な労働環境を提供する取組みを評価する「働きかた優良企業賞」、従業員のキャリア支援を評価する「キャリア支援優良企業賞」、3つの賞すべての領域で価値ある取り組みを行い優れた成果を出した企業を顕彰する「大賞」の4つの賞が設けられている。

2024年10月1日から12月2日までエントリー受付した企業からノミネート企業を選出し、2025月1月14日に受賞企業18社の発表が行われた。授賞式では審査員を務めたワーク・ライフバランスの代表取締役 小室淑恵さん、トイトイ合同会社 代表社員 永島寛之さん、法政大学キャリアデザイン学部教授 坂爪洋美さん、マイナビ社長室 キャリアリサーチ統括部 統括部長 栗田卓也さんより賞が手渡され、坂爪さんによる審査講評、小室さんによる基調講演が行われた。

  • 受賞企業一覧

  • ノミネート企業一覧

大賞にオンワードホールディングス、VISIONARY JAPAN、ゆめみが選出

第1回目の「大賞」に選ばれたのは、オンワードホールディングス、VISIONARY JAPAN、ゆめみの3社。

オンワードホールディングスは、全職種対象に業務効率化とワーク・ライフバランス、生産性向上を目的に「働き方デザイン」プロジェクトを実施し、残業時間の41.2%削減などを実現。販売職には上限のない給与アップを狙えるシステムの導入により、平均年収10%アップ、25年卒採用からの新卒初任給16%アップ、新卒採用人数の34%増加などを実現。これら2点が評価された。

オンワードホールディングス 代表取締役社長 保元道宣さんは今回の受賞に関して「当社は、再来年で創業100年を迎え、その中でファッションを通して潤いと彩を提供してきたが、それを提供し続けるためには社員にもより多くの潤いと彩が必要となってくる。さらなる未来の発展のために、お客様ファーストだけでなく、労働者からも選ばれる企業となる必要がある」と述べ、そのために働き方改革「働き方デザイン」を7年間実施してきたと説明した。

  • オンワードホールディングス 代表取締役社長 保元道宣さん

VISIONARY JAPANは、社員の希望に対応したキャリアや働き方を選べるキャリア支援制度、顧客の契約単価と連動した評価制度の導入、高水準の社員育成計画などの施策により、設立3期目で社員数266名、昨対比で+268%を実現し売上高17億7,000万円を達成するなど好成績を納めたことが評価された。

今回の受賞について代表取締役 小野恭佑さんは、「当社は2022年3月に創業し、今月3期目に入るスタートアップ企業で、常に"大切な人に誇れる会社で在り続ける"という理念のもと事業を展開してきた。それぞれ人が求めるものは違うが、仕事を通して自分自身のライフステージを大切していくことで会社を誇れるようになれば」と同社の目指すべき理想の社風について語った。

  • VISIONARY JAPAN 代表取締役 小野恭佑さん

ゆめみは、「フルリモし放題制度」「有給取り放題制度」「副業し放題制度」「まなびファンディング制度」などのユニークな制度の導入に加えて、業務の10%を自主的なプロジェクトに充てる「10%ルール」などにより社員の自主成長を促し、高い事業成長と採用率を実現している点が評価された。

ゆめみ CHRO室 取締役 太田昂志さんは、「当社は今年で25年を迎えるが何度も経営危機があり、そのたびに新しい施策を打ち出してきた」と同社の長年の活動が決して安泰ではなかったことを明らかにした。そこで、前提を疑い「有給取り放題制度」「副業し放題制度」などのさまざまなユニークな施策を実施してきたという。同氏は一連の取り組みについて「世の中の働く意味を問い直して組織の歪をなくす」ことを目的として戦略的に実施していると語った。

  • ゆめみ CHRO室 取締役 太田昂志さん

「給与アップ優良企業賞」を受賞した5社

「給与アップ優良企業賞」は、アイ·アール債権回収、ODNソリューション、新菱冷熱工業、辰巳電子工業、リード·イノベーションの5社が受賞した。

アイ·アール債権回収は、業務改革により経常利益10億円を確保し、給与に関して正社員の年収ベースで10%を超える報酬見直しを行ったことが評価された。ODNソリューションは、2年連続の10,000円のベースアップと2023年で8.7%、2024年で5.0%の昇給率を達成した他、新入社員の住宅手当の新設や沖縄社員の住宅手当の増額、諸手当・退職金制度の見直しを行いながら5年で営業利益約55億円アップを実現している。

  • アイ·アール債権回収。同社では社員と「今日よりも明日、働く仲間とその家族をより幸せに近づける」を約束しており、それに近づけたのではとのこと

  • ODNソリューション 代表取締役社長 池間幸夫さん。「世の中的に給料を上げていこうという雰囲気になったので、取引企業との単価交渉がうまくいくようになった」とコメント

新菱冷熱工業は、3年連続昇給によりトータル約18%の昇給率を達成したほか、新規採用者の初任給引き上げも実行。DX(デジタルトランスフォーメーション)により2023年の平均残業時間を2015年度比で約25%削減し5年で営業利益約55億円アップを達成している。

辰巳電子工業は、持続的な給与アップとエンジニアのキャリアアップ支援策の成功により22%のスキルアップに成功、受注単価の上昇にも貢献。中途採用においても2022年以降の100%前職より年収を上回る給与設定を行うなどの活動が評価された。

リード·イノベーションは、独自開発した創業者のノウハウを学習させたAI「いそやAI」による業務効率の向上、独自のキャリア制度「学ぶらすたー制度」「手上げアサイン制度」などにより平均で11.3%の昇給率を達成している。

  • 新菱冷熱工業。「社員の笑顔を見るのがなによりも励みとなる」とコメント

  • 辰巳電子工業(右側)。「従業員の給与アップ、スキルアップも一様にうまくいかないが努力しつづけていく」とコメント

  • リード·イノベーション。「自身が体験した経験をAIに学習させ活用できるシステムを作成して社内で活用しています。今後社外でも提供を目指します」とコメント

「働きかた優良企業賞」を受賞した5社

「働きかた優良企業賞」は、アルトワイズ、さくらインターネット、三建設備工業、銚子丸、マルゴトの5社が受賞した。

アルトワイズは、「お昼食べ行こうよ」手当や趣味手当などの独自の手当、趣味休暇や「感謝感激ちゃんねる」などの社員をバックアップする数々のユニークな取り組みにより離職率を大幅に改善し、採用数を2年間で約4倍に増やし組織を約3倍に拡大させたことが評価された。

さくらインターネットは、独自の働き方パッケージ「さぶりこ」に加えて、定時30分前の退勤制度「ショート30」、2日以上の連続有給に対して1日あたり5,000円を支給する「リフレッシュ」などにより2023年度の採用応募数で年間1万人を達成している。

  • アルトワイズ。「当社では、社員の要望に合わせて趣味手当他、10を超えるユニークな手当があります」とコメント

  • さくらインターネット。「働き方改革は制度も重要だが企業風土とルールも重要。いかにそれを作っていくのかも重要」とコメント

三建設備工業は、無駄な業務をやめるためのアイデアを社員から募集するプロジェクト「やめ活コンテスト」による業務改善でエンジニアリング部の時間外勤務平均時間を2023年度上期から2024年度上期比で約40%削減したことが評価された。

銚子丸は、DXによる機械化と省力化、営業時間の短縮と休業日の設定などの労働環境改善策により売上減少なしに残業時間削減と男性育休取得率100%を実現した。

マルゴトは、全社員フルリモート勤務環境最適化のためのオンボーディングプログラム、1on1社員ケアなどのサポート体制の改善、マネジメント体制と評価制度の見直しなどを行い入社半年以内の離職率と社員の月平均残業時間の大幅改善、売上の向上などを実現した。

  • 三建設備工業。「建設現場での時間外勤務削減は大変難しいのですが、なんとか達成できました」とコメント

  • 銚子丸 代表取締役社長 石田満さん。「外食産業には固定残業時間というものが存在していて当社では70時間以上もあった。それを可視化して縮めるために様々な施策を実施しました」とコメント

  • マルゴト。「当社社員はフルリモートで全国から勤務しています。企業文化である"ともに成功する"を実現するため成功事例を共有していきたい」とコメント

「キャリア支援優良企業賞」を受賞した5社

「キャリア支援優良企業賞」は、アイアール、九州旅客鉄道(JR九州)、DAY TO LIFE、電通デジタル、フクヤ建設の5社が受賞。

アイアールは、新入社員研修や職長研修システムを自社内で独自に展開、資格手当や取得祝い金などのスキルアップ奨励措置の実施や、女性管理職登用、産休・育休取得推奨など積極的な男女格差是正措置などが評価された。

JR九州は、新設した一般社員向けの「キャリアデザイン研修」、スキル向上のための企業内大学「JR九州アカデミー」の開校、学習履歴を可視化するための「オープンバッジ」制度など、自主的に学習する風土の醸成に成功している。

  • アイアール。「当社は”建設業を人気業種にする”をコンセプトに未経験の方がエントリーしやすいようSNSなどに力を入れて広報活動をおこなっています」とコメント

  • JR九州。「本業は鉄道事業で決められたことをきちんとやるのが最前提ではありますが、そのままだと仕事に受け身になりがちなところがあります。そのために「JR九州アカデミー」を開校しました」とコメント

DAY TO LIFEは、女性管理職登用とキャリア教育向上のため「人事評価制度改革プロジェクト」を実施し、2023年度に女性活躍を推進する組織認定「プラチナえるぼし」、2024年度に子育てサポート企業「くるみん」認定を獲得している。

電通デジタルは、社員のキャリアップ支援を行う「シャインアッププログラム」を実施。「知る」「選ぶ」「つながる」の3つを柱とした「キャリアオーナーシップ」を軸に、社員のキャリア観の言語化と管理者との共有、キャリアアップのための最適化された配置、人脈形成支援などを通し成果を上げた。

フクヤ建設は、直接の利害関係から外れるメンターへ相談可能な「ナナメンター制度」やキャリアを継続しつつ働ける「オーダーメイド制度」などの個々の事情に対応したキャリアプランの支援や女性活躍支援を旨とする人材育成計画を実施。建設業界において女性管理職50%、主任級以上の女性60%を達成したことが評価された。

  • DAY TO LIFE。「スイーツの会社ということもあって女性が多い会社。仕事でも女性に自己実現してもらうために改革を進めてきました」とコメント

  • 電通デジタル。「社員の在り方が事業成長に大きく影響する業態なので、キャリアプランに力を入れてきました」とコメント

  • フクヤ建設。「建築業ということで問題山済みですが社員がなりたい自分を目指して一緒に支えあって成長していくそういう姿を評価してもらったと思います」とコメント

「マイナビ転職 BEST VALUE AWARD 2024」の受賞企業やノミネート企業、取組事例、求人掲載内容などはWebサイト(https://tenshoku.mynavi.jp/content/bestvalueaward/companies/)で詳細内容を確認できる。今後、コンテンツとして受賞企業のインタビューも2025年3月以降に公開予定となっている。