ソフトバンクグループ(SBG)は2月12日、2024年10~12月期の連結決算(国際会計基準)を発表した。売上高が前年同期比3%増の1兆8326億円だった一方で、最終損益は3691億円の赤字と7~9月期(1兆1796億円の黒字から)から赤字に転落した。ビジョン・ファンド(SVF)事業の投資損益が3527億円の赤字だったことや、為替差損による影響が主因となった。

同日の決算説明会に登壇した後藤芳光CFO(最高財務責任者)は「3カ月単位の業績の動きで一喜一憂する必要は全くない。AI革命を牽引する企業への投資に引き続き注力していく」と強調した。

  • ソフトバンクグループ CFO 後藤芳光氏

    ソフトバンクグループ CFO 後藤芳光氏

時価純資産は29兆円「極めて安定している」

ビジョン・ファンドの主要な出資先である中国最大の配車サービス会社の滴滴グローバル(DiDi Global)や、韓国のEC最大手クーパン(Coupang)の株価が軟調だった。また、中国のアリババ集団の株価が下落したことにより、3772億円の損失も出た。「アリババ株の資金課は終了しているが、先物取引なので我々の手元に株式がまだ残っている」(後藤氏)という。

  • 投資損益および純利益 (四半期)の推移

    投資損益および純利益 (四半期)の推移

一方で、ビジョン・ファンドを通じた投資は積極的に続けており、11月には食品配達および即時配送サービスを展開するインドのSwiggyが、インド国立証券取引所とボンベイ証券取引所でIPO(新規株式公開)を行った。上場時の時価総額は104億ドル(約1兆5967億円)と、「2024年で世界最大のテック株IPOとなった」(後藤氏)という。

また、10~12月期において、データ分析基盤の米Databricksや核融合エネルギーのスタートアップ米Helion Energyなど、AI革命を牽引する企業へ投資に引き続き注力している。

SBGが重視する保有株式価値から純有利子負債を差し引いた時価純資産(NAV)は12月末時点で29兆円だった。また手元流動性は5兆円、保有株式に対する純有利子負債の割合を示す負債カバー率(LTV)は12.9%だった。「極めて安定しており、安全なレベルを維持している」(後藤氏)

  • SBGが重視する3つの指標

    SBGが重視する3つの指標

米国でのAI投資は借り入れ中心の資金調達を検討

後藤氏は、米国でのAIインフラ整備に今後4年間で5000億ドル(約77兆円)を投じる「Stargate Project(スターゲート・プロジェクト)」についても言及した。

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