ASMLが1月29日(欧州時間)、2024年第4四半期の決算を発表した。

それによると連結売上高は前年同期比28%増の92億6200万ユーロ、純利益は同32%増の26億9300万ユーロ、粗利益率は51.7%と好調だった。また、同四半期の受注額は71億ユーロと市場予測を2倍ほど上回っており、そのうち30億ユーロがEUV露光装置によるものとなっている。

この結果、2024年通年の売上高は前年比3%増の282億6200ユーロと過去最高を更新したものの、純利益は同3%減の75億7100万ユーロとなり、粗利益率は51.3%となったとする。

また、2025年第1四半期の見通しについては、売上高が75億~80億ユーロ、粗利益率が52%~53%になるとしているほか、2025年通年の総売上高は300億〜350億ユーロと予測しており、2024年通年と比べ7~25%の増加となる。粗利益率は51%~53%と予想している。

  • ASMLの2024年第4四半期および2024年通年の決算データ

    ASMLの2024年第4四半期および2024年通年の決算データ (出所:ASML、以下すべて)

  • ASMLの連結年間売上高の用途別内訳の推移

    ASMLの連結年間売上高の用途別内訳の推移

米国が最大市場に

2024年第4四半期の売り上げを国・地域別に見ると、米国が28%、中国が27%となり、米国がトップとなった。背景には最大顧客のTSMCがアリゾナ工場の稼働を進めていること、Intelが高NA EUV露光装置を購入したことを反映したものと見られる。第3四半期は中国が47%を占めていたが、米国の対中半導体規制の影響か、その割合を落とした。ASML幹部によると、2025年には中国の比率は20%程度の正常な比率に戻る見込みだという。

2024年通年でみると、トップは中国の41%、2位は21%の韓国、3位が17%の米国で、日本は4%にとどまっている。

  • TSMCの2024年第4四半期の売上高内訳と前四半期の売上高内訳の比較

    TSMCの2024年第4四半期の売上高内訳と第3四半期の売上高内訳の比較

  • TSMCの2024年通年の売上高内訳と2023年の売上高内訳の比較

    TSMCの2024年通年の売上高内訳と2023年の売上高内訳の比較

AIは成長の原動力、DeepSeekの台頭を歓迎

ASMLの社長兼最高経営責任者であるクリストフ・フーケ氏は第4四半期決算が同社のガイダンスを上回ったことに触れたほか、売り上げには2台の高NA EUV露光装置が計上されていることに触れ、同四半期に3台目の高NA EUVが顧客に出荷されたことも指摘している。また、2025年第1四半期および2025年通年売り上げ高の見通しに変更はないこと、ならびに研究開発費は約11億4000万ユーロ、販売費および一般管理費は約2億9000万ユーロになるとの予想を示した。

さらに、「AIの成長は半導体業界の成長の原動力となっている。AIは市場動向の変化を引き起こし、すべての顧客に平等に利益をもたらすわけではなく、2025年の収益範囲予測に反映されているように機会とリスクの両方を生み出している」と述べ、IntelやSamsungの不振やDeepSeekの成長が自社の懸念材料となるとの見方を示したほか、DeepSeekについては「突然現れた新興企業が競争を挑んで開発コストを低下させることは、ASMLにとって良いニュースだ。コストが下がれば、AIをより多くの用途で使用できるようになる。用途が増えれば、チップの需要も伸びてASMLにとっても有利となる」と強気の発言をしている。