GlobalFoundries(GF)は1月17日(米国時間)、米ニューヨーク州マルタの自社半導体工場「Fab 8」に、前工程後のパッケージングとテストを行う新施設「New York Advanced Packaging & Photonics Center」を設立する計画を発表した。
この施設はAI、自動車、航空宇宙・防衛、通信などの重要な最終市場に必要とされるシリコンフォトニクスや先端パッケージ需要の高まりに対応するもの。
国家安全保障上、前工程から後工程まで米国内で一貫して行うことを目指す米国政府の半導体製造強化方針に沿った計画だと同社では説明している。
需要の高まりが期待される先端パッケージングとフォトニクス
AI産業の成長により、データセンターやエッジデバイスの電力・帯域幅・密度に対する要求を満たすシリコンフォトニクスや3D/ヘテロジニアスなチップ集積(Heterogeneous Integration:HI)の活用が進んでおり、こうした需要の高まりに応えることを目的に、新施設では以下のサービスの提供が予定されている。
- GFのシリコンフォトニクスプラットフォーム向け先端パッケージング、組み立て、テスト
- 国防総省の「Trusted Foundry」認定工場として、航空宇宙・防衛産業向けに、先端パッケージング、バンプ、アセンブリ、テストをフルターンキー提供。機密性の高い国家安全保障システム向けチップを、米国内で前工程から後工程まで一貫して提供
- GFの12LP+、22FDX、およびその他の主要プラットフォームを使用した3DおよびHIチップ向け先端パッケージング、ウェハボンディング、アセンブリ、およびテストのための生産能力の提供
同施設の総投資額は5億7500万ドルが見込まれているほか、今後10年以上にわたって研究開発に1億8600万ドルが投じられる予定だと同社では説明しており、今後5年間でニューヨーク州に約100人の雇用を新たに創出することが期待されるという。ニューヨーク州では、この新施設に最大2000万ドルの補助金を支援する予定としているが、これはニューヨーク州Green CHIPSプログラムとして提供予定の5億5000万ドルの支援とは別枠としているほか、米国商務省も最大7500万ドルの直接資金を提供するが、これはCHIPS法として提供される助成金に追加されることとなるという。
先端パッケージング市場は2031年に400億ドル市場に
米Semiconductor Digestによると、先端パッケージング市場の規模は、2022年に301億ドルであったものが2023年から2031年にかけて年平均成長率(CAGR)5.2%で成長し、 2031年末には403億ドルに達すると予想されるという。
半導体の高性能化ニーズがさまざまな産業に拡大するにつれて、先端パッケージングの需要が高まっており、その主なけん引役としては以下の6つが挙げられるという。
- コンパクトで高性能なデバイスに対する需要の増加
- 5G向け高周波、低遅延のアプリケーションをサポートする高度なパッケージングソリューションに対する需要
- 低消費電力で多機能なパッケージを必要とするIoT とエッジコンピューティングの成長
- 自動車用エレクトロニクスの台頭
- AIとHPCの需要増加
- パッケージングにおける技術革新(2.5D/3Dパッケージング、FOWLP、ハイブリッドボンディングなど)