仏Yole Groupによると、2024年の半導体の前工程ウェハファブ装置(WFE)市場は1330億ドルと予測され、そのうち83%が装置そのものの売り上げ、残り17%がサービスとサポートによるものだという。また、市場規模は年平均成長率(CAGR)4.4%で成長し、2029年には1660億ドルへと拡大する見込みで、装置のみで見た場合はCAGR4.9%で成長し、2029年には1390億ドルへと拡大すると予測されるという。

  • 半導体前工程装置の売上高とサービス・サポートの売上高の推移予測

    半導体前工程装置の売上高とサービス・サポートの売上高の推移予測 (出所:Yole、以下すべて同様)

  • 半導体前工程装置およびサービス・サポート売上高の今後5年間のCAGR予測

    半導体前工程装置およびサービス・サポート売上高の今後5年間のCAGR予測

前工程装置市場で圧倒的存在感を見せる大手5社

全体的に前工程装置市場は長年にわたって大手5社が存在感を示してきた。

近年のトップはASMLで、次いでApplied Materials(AMAT)。3位以下はLam Research、東京エレクトロン(TEL)、KLAと続いており、伝統的に米国勢が市場をけん引してきた(米国に次いで欧州、日本、韓国や台湾、中国などといったその他の順)。しかし、複雑な前工程装置市場は高度に専門化されており、カテゴリごとに市場動向やシェアが異なっている。

  • 前工程装置メーカーのプロセスカテゴリ別市場シェア

    前工程装置メーカーのプロセスカテゴリ別市場シェア

  • 前工程装置の出荷先地域・国別シェア

    前工程装置の出荷先地域・国別シェア

プロセス別市場規模

2024年はパターニングセグメントが主導し、続いてデポジション、エッチングと洗浄、計測と検査、CMP、イオン注入、ウェハボンディングという順になっている。

デバイスアプリケーション

ロジック(先端/レガシー)が主導的で、メモリ(DRAM、NAND)、特殊デバイス(MEMS/センサ、電源およびアナログ、イメージングおよびフォトニクス)、ウェハレベルの先端パッケージ、ウェハ製造と続く。

装置特性

ウェットプロセスとドライプロセスは、装置のサブシステム、コンポーネント、モジュールの市場動向に影響を与えるほか、プロセスチャンバ/エリアの数、プロセスパラメータ(圧力や温度など)、使用される基板などの要因にも影響を与える。

前工程装置市場の出荷先の中心は中国。重要視されるのはプロセスの進化の実現

製造装置の売上高を出荷先別に見ると、2023年と2024年は中国が全体の3分の1以上を占めており、次いで韓国が約20%、台湾が10〜20%、米国が10%、そして日本と欧州、その他のアジアがそれぞれ1桁台%で続いている。

合併と買収 (M&A): M&A 活動は 2022 年と 2023 年に前年比で 2 倍になった。2024 年には、この活動は減少している。前工程装置メーカーの買収は、他の 装置 ベンダー、チップメーカー、または投資ファンドによって行われてきた。

製造装置メーカーは、半導体メーカーに製造プロセスを担当する製造装置そのものを提供しているというよりも、プロセスの処理を行うためのソリューションそのものを提供していると言え、その実現には、半導体業界の上流から下流に至る問題の多くを考慮する必要がある。そうした各社の究極の目標は、製造されるすべてのデバイスに対して高度に特殊化されたプロセス条件を満たしながら、プロセス要件に応じて組み合わせることができる多目的モジュールを作成することとなる。

前工程は、薄化、堆積、エッチング、パターン形成、イオン注入、計測と検査、そして接合と大きく分けられるが、いずれの工程でも重要視されるのは処理能力であり、プロセスの限界を拡張できるかどうかという点となっている。