半導体製造装置メーカーのディスコは、半導体製造のコスト効率化に向けて検討が進められる“PLP”(Panel Level Package)の生産性向上に寄与するパッケージ切断装置として、330mm角までのワークサイズに対応したフルオートダイシングソー「DFD6370」を開発した。

  • 330mm角対応ダイシングソー「DFD6370」

    ディスコが開発した330mm角対応ダイシングソー「DFD6370」(提供:ディスコ)

なおこの新製品は、12月11日から13日まで東京ビッグサイトにて開催されるエレクトロニクス製造の国際展示会「SEMICON Japan 2024」にて公開される。

ディスコ「SEMICON Japan 2024」関連リリース

ディスコ、SiC向け・電子部品向けのダイシングブレード2種を開発
ディスコ、“ローラーブレーキング機構”搭載の全自動ダイセパレータを開発

実用化が期待されるPLPプロセスで出現する新たなニーズ

半導体の高性能化・微細化が進む中、そのパッケージング技術においても、低背化やコストダウンなどを目的としたさまざまな手法が提案されてきた。その中でもここ10年ほどは、300mmウェハサイズで一気にパッケージングを行う「FO-WLP(Fan Out-Wafer Level Package)」が盛り上がりを見せてきたとのこと。そして現在ではさらなるコストダウンを見据え、大型基板~パネルレベルでの製造を行うPLPの構想が出現してきたという。

こうした背景からディスコでは2016年、720mm×610mmという業界最大級サイズの大判ダイシングソー「DFD6310」を発表済みだ。この製品は、2019年にSEMIによって標準化された600mm基板にも対応できるため需要はあるが、大きなワークを一気に個片化するには長時間を要しダイシングソーを占有する形となることから、その生産性には課題を残していたとする。

パッケージ基板トレンドに応える300mm角対応の新製品

そこで今回ディスコは、パネルサイズからの個片化作業効率化に貢献する新たなダイシングソーとして、DFD6370を発表した。330mm角までのパッケージ切断に対応した同製品は、FO-WLPなどで用いられてきた直径300mmのウェハに対応する装置よりも対応サイズが一回り大きいことが特徴である。

  • 300mmウェハと300mm×100mm基板3枚を貼り付けたワークのサイズ比較

    300mmウェハ(左)と300mm×100mm基板3枚を貼り付けたワーク(右)とのサイズ比較。300mm角基板相当サイズのワークの方が面積が大きく、300mmウェハ用装置では対応できない(提供:ディスコ)

同社によると、新製品の開発背景には、前出の通りSEMIにより標準化された600mm角基板の登場・普及によって、それを4分割し300mm角にしてから個片化するという新たなニーズが生まれた点もあるとのこと。パネルサイズから分割したのちのダイシング作業を担うことで、生産性向上が期待できるとする。

また多枚貼り加工にも対応しており、1枚のフレームに300mm×100mmなどのストリップ基板を複数貼り付けた状態でも切断が可能。加えてオプションとして“ハイトコントロール機能”を追加可能で、ワークに合わせて高さ測定用センサの選択が可能だという。

  • 複数の基板を貼り付けたワークにも対応可能だ

    複数の基板を貼り付けたワークにも対応可能だ

なお、DFD6370は2025年1月からテストカットを開始し、同年10月の販売開始を予定しているとのこと。ディスコの担当者は、今後の普及拡大が見込まれるPLPの実現に不可欠なダイシング作業のコスト効率化・生産性向上に寄与するため、パネルサイズに対応したDFD6310をはじめとする従来製品と共に、新製品を併せて市場に提案していくとしている。