東芝は11月25日、同社完全子会社の東芝マテリアルの全株式を日本特殊陶業に譲渡することを決定し、日本特殊陶業との間で株式譲渡契約を締結したことを発表した。
東芝マテリアルは、東芝の材料事業として事業を展開してきた経緯があり、ブラウン管用金属材料、蛍光灯やカラーテレビ、医療設備などに使用される蛍光体材料、航空機や電気自動車などに使用される窒化ケイ素部品など、さまざまな機能材料・部品を提供してきており、その中でも、ファインセラミックス製品である窒化ケイ素ボールは、電気自動車、工作機械、風力発電機、鉄道車両など、高速回転や耐電食が求められる各分野のベアリングボールとして多数の実績があるほか、パワー半導体などに用いられる窒化ケイ素セラミックス基板なども展開している。
一方の日本特殊陶業は、セラミック素材技術をコア・コンピタンスとし、主力の内燃機関事業を強化しながら、非内燃機関事業の規模拡大を目指しており、新規事業として「環境・エネルギー」、「モビリティ」、「医療」、「情報通信」の4分野を注力領域に据えている。
これらの新規事業領域は、東芝マテリアルも材料設計・プロセス、製品応用技術を保有しており、今回の事業譲渡により、日本特殊陶業と東芝マテリアルのセラミック技術の融合、グローバルな顧客基盤の拡充やサポート体制の強化といったシナジーが期待できるという。そのため東芝では、日本特殊陶業が、東芝マテリアルの持つポテンシャルを最大限に発揮できるリソースを有するベストパートナーであり、日本特殊陶業の下でシナジーを追求することが東芝マテリアルの企業価値向上につながると判断したと今回の事業譲渡に至った背景を説明している。
なお、今回の取引にかかる価格は純有利子負債を含め約1500億円とされており、必要な手続きを経て2025年5月30日の譲渡完了を目指すとしている。