東北大学と日本特殊陶業は、新たな価値を提供する材料の創出を目指した研究推進拠点として2024年3月1日付で、「日本特殊陶業×東北大学 MIRAI no ME 共創研究所」を東北大学片平キャンパス内に設置したことを発表した。

  • 「日本特殊陶業×東北大学 MIRAI no ME 共創研究所」の設立に際しての記念撮影の様子

    「日本特殊陶業×東北大学 MIRAI no ME 共創研究所」の設立に際しての記念撮影左から東北大の金子特任准教授、佐藤特任教授、菱田特任教授、日本特殊陶業の鈴木上席執行役員(科学研究所所長)、東北大の植田理事、千葉教授、西堀教授 (出所:東北大)

近年、自動車の急速な電動化や半導体需要の拡大など社会情勢は目まぐるしい変化を遂げており、必要とされる材料や技術も急速に変化している。そうした中、耐熱性やイオン伝導性、磁性など多彩な機能を持つセラミックスが、これまで以上に社会課題を解決し得る材料として期待されている。

セラミックスの機能は成分や作り方で変わり、その組み合わせには無限の可能性があるとされている。従来、材料開発の世界は開発者の経験と知識に基づく試行錯誤で進められてきたが、変化の激しい現代社会では、より革新的かつ迅速な材料開発が求められており、その実現のために今回の共創研究所を設立するに至ったと両者は説明している。

具体的な活動内容としては、“新奇”セラミックス材料・製品の創出を目的とした計測・解析拠点の設立や、国際放射光イノベーション・スマート研究センター(SRIS)との連携ならびに東北大 青葉山新キャンパス内で官民地域パートナーシップにより整備中の3GeV高輝度放射光施設「NanoTerasu(ナノテラス)」といった東北大学内資源を最大限活用した研究推進・基盤技術の構築などが挙げられている。

また、この取り組みと並行してセラミックスの研究開発と実用化の知見に強みを持つ日本特殊陶業は、NanoTerasuのコアリションメンバーとして有志連合に加入。NanoTerasu の利用権を獲得する形で、同施設を最大限活用しながら研究を推進するとしている。NanoTerasu の活用で、ナノの世界で起きている現象をよりはっきりと見ることができるようになるため、セラミックスの機能を原子・分子スケールからデザインできるようになるという。今回の共創にて日本特殊陶業は、NanoTerasu の活用に加え、東北大の情報科学の知見も活用することで、大規模かつ複雑な計測データから革新的なセラミックスを得るための指針を迅速に見出す計測・計算融合の取り組みを推進していくことで、新奇セラミックスの早期提案と社会実装を加速していきたいとしている。

なお、共創研究所の具体的な設置場所は、東北大学片平キャンパス 多元物質科学研究所 南総合研究棟2で、2024年4月より、2024年3月に竣工する青葉山新キャンパス 青葉山ユニバースに設置される予定。設置期間は、2024年3月1日~2027年3月31日としている。

  • 2024年3月に竣工予定の青葉山ユニバースの外観

    2024年3月に竣工予定の青葉山ユニバースの外観 (出所:東北大)