STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)は11月20日(スイス時間)、仏パリにて投資家向け説明会「Capital Markets Day」を開催。これまでと同じ戦略の枠組みの中で、2030年までに売上高200億ドル超の達成に向けた2027年から2028年にかけての中間的財務モデル(売上高約180億ドル、営業利益率22~24%)を設定したことを明らかにした。同社の2023年の売上高は約173億ドル、2024年の売上高見通しは約133億ドルとしているため、中間目標である180億ドルに向けた年平均成長率(CAGR)は8~11%ほどということとなる。
それによると同社は2027~2028年のエンドマーケット別売上高比率を産業向け39%(2024年からのCAGRは10%台半ばから上方)、自動車向け37%(同1桁台の上方)、個人用エレクトロニクス15%(同1桁台の半ばから上方)、通信機器およびコンピュータ周辺機器9%(同1桁台半ばから上方)と想定している。
また、2024年から2027/2028年にかけてのデバイスカテゴリ別売上高比率としては、パワーおよびディスクリートが36%(2024年からのCAGRは10%台下方から半ば)、アナログ/MEMS/センサが26%(同1桁台半ばから上方)、マイクロコントローラが27%(1桁台上方から2桁台下方)、デジタルIC/RFが11%(1桁台半ばから上方)としている。
このほか、製造戦略としてはシリコン関連については、仏クロルと伊アグラテの300mm工場での増産に注力する一方で200mmは調整する。また、150mmのレガシー製品はシンガポール工場に集中させ、300mmウェハの比率を現在の42%から2030年には67%へと増加させ、200mmウェハの比率は現在の46%から2030年には29%へと減らす予定とする。
SiCについては200mmウェハの生産を伊カターニア、中国の重慶で行い、技術開発をシンガポール、アセンブリと最終テストは、中国の深圳で行う枠組みを構築し、200mmの比率を増やしていくとする。
中国市場については、China-for-China(中国顧客のために中国で製造)の方針を貫く形で前工程工場を重慶に、後工程工場を深圳に、そして深圳の不要解析および信頼性ラボや上海のアプリケーションセンタなどを通じて、スケーラブルな製造ネットワークを構築するとのことで、中国での半導体製造にあたっては中国企業と提携するとともに、できる限り中国現地の装置や材料を活用して、地政学的な規制を避ける方向性で取り組むとしている。
このほか、半導体技術としては、BCD-VIパワー、パワー、MEMS、イメージセンサ、HCMOS、BiCMOS、eNVMやデジタルに至る多様なデバイスを扱うとするほか、アセンブリやテスト機能を拡張し、チップレットを用いたマルチ技術集積技術の開発も進めていくとしている。
華虹半導体との提携で深圳でマイコン製造へ
また、同イベントでは同社CEOのJean-Marc Chery氏がメディアブリーフィングにて、中国での現地製造の重要性を強調し、それが中国における競争力維持に重要であるとの認識を示し、中国ファウンドリ「Hua Hong Semiconductor(華虹半導体)」と提携し、2025年末までに深圳にて40nmプロセスを採用したマイクロコントローラの生産を行う計画を明らかにしたと海外メディアが報じている。中国政府や中国顧客から半導体の現地生産拡大を求める声が高まっていることを受けての判断だという。
STは、電気自動車(EV)で使用されるSiCパワー半導体の大手生産者であり、世界最大のEV市場である中国における競争力を維持するためには、こうした取り組みが不可欠だと判断したようだ。また同氏は「中国における産業/車載半導体のシェアを競合する中国企業に譲ることになれば、その中国企業が市場を独占することになる」との認識を示し、「そうなれば市場規模が大きいため、他国で競争するための優れた基盤が彼らに提供されることになる」と指摘。「STは中国市場で学んだベストプラクティスと技術を欧米市場で活用するために採用している」と中国向け戦略を説明したという。
STの品質・製造・技術 社長であるFabio Gualandris氏は、中国での生産を決定した背景には、現地のサプライチェーンの費用対効果、互換性の課題、政府の規制に伴う潜在的なリスクなど、いくつかの要因によって推進されたと説明しているほか、中国外での半導体製造は、中国で急速に進むEVの開発サイクルに乗り遅れることを意味するとし、「中国市場はより速く発展しており、そこにいなければ、間に合うように反応することはできない」と指摘したという。
すでにSTは2023年に中国の三安光電と重慶にSiCの合弁会社(Sanan STMicroelectronics)を2023年8月に設立している。このプロジェクトには、半導体工場とウェハ工場の両方が含まれており、SiCパワー半導体と基板の安定生産に重点が置かれており、車載グレードのSiC MOSFETパワーチップを年間48万個生産することを目指している。また、三安は、全額出資子会社の湖南三安を通じて、基板工場として重慶三安を設立しており、その総投資額は約70億元で、SiCウェハの育成と製造に重点を置き、年間生産能力は48万枚(8インチ)としている。






