ASMLが10月15日に発表した2024年第3四半期(7~9月期)の決算概要によると、売上高は前四半期比19.6%増の74億6700万ユーロ、純利益は同31.6%増の20億7700万ユーロとなったという。
また、同四半期の受注額は26億ユーロ(内14億ユーロがEUV)となったが、第1四半期の36億ユーロ、第2四半期の56億ユーロと比べると減少している。ASMLは、いくつかの工場で建設が遅れていることを理由の1つにあげている。
同四半期の売り上げを国・地域別に見ると、中国向けが47%とトップ。米国政府による輸出規制下にもかかわらず第2四半期の49%から2ポイント下げただけで、金額にしても同19.4%増の27億8500万ドルと2四半期連続で増加している。一方の米国向けも前四半期の3%から21%へと急増しており、Intelへ納入した高NA EUV露光装置の検収が完了したことなどが要因と思われる。また、光源別の出荷台数はEUVが同3台増の11台のほか、ArF液浸が38台、KrFが42台と伸ばしている。
2025年通期売上高を下方修正
ASMLによると、2024年第4四半期の売上高は88億~92億ユーロ、粗利益率は49%~50%と見込まれ、2024年通期売上高は約280億ユーロになると予想している。また、2025年通期業績の見通しについて同社は、従来の300億~400億ユーロ、粗利益率54~56%から300億~350億ユーロ、粗利益率51~53%へと下方修正している。
同社の社長 兼 最高経営責任者(CEO)を務めるクリストフ・フーケ氏は、半導体業界の現状および2025年に向けた見通しについて、「AI分野からの需要継続と上振れの可能性がある一方、他のセグメントの回復には時間がかかっている。また以前の予想よりも回復が緩やかになっており、この傾向は2025年も続くと予想され、顧客の慎重な投資につながっている。ロジックに関しては、特定顧客の新たな技術ノードの導入遅延が生じ、EUV露光装置への需要タイミングのズレなどが起こっている。一方のメモリは、ストレージ容量の増加は限定的で、HBMおよびDDR5を中心としたAI関連需要向け技術への移行に焦点があてられるようになっている」と述べている。
Intelが2台目の高NA EUVの設置を完了
新たな動きとして、10月初旬に米国で開催された「SPIE Photomask Technology + EUV Lithography」にて、Intelの露光技術ディレクターのマーク・フィリップス氏が、米オレゴンの開発・試作ラインに2台目となる高NA(NA=0.55)EUV露光装置の設置を完了したことを明らかにしたと台湾メディアなどが報じている。
ASMLによると、初号機は分解した後に輸送したため、組み立て完了まで3か月かかったが、2台目に関してはそのまま設置できるように改良したため、時間とコストの節約につながり、出荷と納品の迅速化が可能になったとしている。
また、Intlでは高NA EUV用レジストについて、従来の化学増幅型レジスト(CAR)で現状の解像度は十分だが、さらなる微細化を進めるには金属酸化物フォトレジストが必要になるだろうとの見方を示しているが、同社がEUVを本格量産適用させるのは2026~2027年に採算が予定されているIntel 14A以降で、それまでに改良が進むことが見込まれるとしている。