台湾の鴻海科技集団(Hon Hai Technology Group:Foxconn)は、10月に台湾で開催した年次イベント「Hon Hai Tech Day(HHTD24)」において、NVIDIAと技術提携して「Hon Hai Kaohsiung Super Computing Center」を台湾・高雄に設立し、2026年までにNVIDIAのBlackwellアーキテクチャを活用した台湾最速のスーパーコンピュータ(スパコン)を設置する計画を発表した。
このスパコンには、Blackwellを採用する「GB200 NVL72」が合計64ラック配備され、4608個のTensor Core GPUなどを備えることでAI性能は90ExaFlopsを超すとされている。
また、NVIDIA NVLinkスイッチにより、72個のGPUシステムを単一の統合GPUとして機能させることができることから、大規模なAIモデルのトレーニングや、数兆パラメータのモデルで複雑な推論タスクをリアルタイムで実行できるようになるとしている。また、同センターは、NVIDIAの技術を活用した先進的なスパコンセンターの世界規模のネットワークの一部として位置付けられており、このネットワークには、欧州やアジア地域の複数の施設が含まれる予定となっているという。
鴻海では、このスパコンをがん研究や大規模言語モデル開発、スマートシティ・イノベーションのブレークスルーに役立てることで、台湾をAI産業の世界的リーダーに押し上げることを目指したいとしている。現在、同社は「3つのプラットフォーム戦略」として、スマートマニュファクチャリング、スマートシティ、電気自動車(EV)に焦点を置いており、開発されるスパコンは、3つのプラットフォームで重要となるデジタルツイン、ロボットの自動化、スマート都市インフラの取り組みをサポートする上で重要な役割を果たすとする。
メキシコでBlackwell AIサーバの製造を計画
また鴻海では、メキシコ中部の都市グアダラハラにNVIDIAのGPUを搭載したサーバの組み立て工場を建設中であることも明らかにしている。このメキシコ工場では北米の企業向けのGB200 NVL72搭載AIサーバを中心に生産する予定で、鴻海ではメキシコでの事業拡大に向けてすでに5億ドルの投資を実行済みだという。
この新工場は2025年からの稼働開始を目指しており、稼働すると、GB200搭載AIサーバを生産する世界最大の工場になると予想という。こうした大規模な投資について同社の劉揚偉・董事長(会長)は「AIコンピューティングのニーズが飽和状態になるという市場の懸念はあるものの、現在の需要動向は当社の当初の予測を上回っており、AI関連の成長に対する期待感が依然として堅調で、すぐに減速する兆候はみられない」と指摘している。
なお、NVIDIAは8月、設計を微調整したBlackwellのサンプルをパートナーや顧客に出荷し始めたことを発表しており、第4四半期には数十億ドルの売り上げが計上される見込みとしている。