三菱電機は9月30日、同社パワーデバイス製作所 福山工場(広島県)で製造する300mm(12インチ)Siウェハを用いたパワー半導体チップのモジュール組立工程に向けた本格的な供給を開始したことを発表した。
脱炭素社会の実現に向けたエネルギー効率の向上の実現に向けて、高効率なパワー半導体の需要が拡大。そのニーズも多岐にわたるようになっている。SiCやGaNなど、次世代のパワー半導体に注目が集まるが、パワー半導体市場全体の大半はいまだにSiベースの製品が占めており、その適用範囲も電気自動車(EV)や再生可能エネルギー、鉄道のような大電力分野から、民生機器といった小電力分野まで幅広く、今後も電子機器市場の拡大に併せて、成長が期待されている。
同工場は、三菱電機の300mm Siウェハによるパワー半導体の前工程を担当する拠点で、今回の実際の製品として活用するためのモジュール組立工程へのチップ出荷を本格的に開始したことで、同社では最新のSiパワー半導体モジュールの安定生産が可能となり、今後の高まるパワー半導体の需要に対して、迅速かつ安定的に製品を供給できるようになり、各分野のパワーエレクトロニクス機器の省エネ化に貢献していくことができるようになると説明している。
なお、同工場は3階建てで延べ床面積は約4万6500m2。300mm Siウェハのほか200mm(8インチ)Siウェハを用いたパワー半導体の製造も担当している。時系列的には、シャープより2020年6月に福山事業所の一部の土地と建屋を取得。改修工事の後、2021年11月より工場として稼働を開始。2022年4月より8インチSiウェハ対応生産ラインでの量産稼働を開始。2023年8月に300mm Siウェハ対応生産ラインの設置を完了。2024年9月より300mm Siウェハによるパワー半導体チップのモジュール組立工程に向けた本格的な供給開始という流れとなっている。