ザインエレクトロニクスは9月17日、車載機器および産業機器のマルチディスプレイ用途向けにディスプレイ用情報伝送規格MIPI DSIに対応した情報伝送用半導体「THCV353-Q」の量産を開始したことを発表した。

  • 「THCV353-Q」

    「THCV353-Q」のパッケージ外観 (出所:ザインエレクトロニクス)

同製品は送信用半導体という位置づけのため、同社の受信用半導体「THCV334-Q」とセットで利用することで、えば、車載用途としてサイドミラー部分に設置された左右カメラの映像を左右ウィンドウ部分に設置されたディスプレイに映し出すシステムを容易に構成することが可能となるとするほか、産業機器用途としては、コンビニエンスストアのレジ上部に設置されるマルチディスプレイに対して統合的な画像データ配信を可能とするといった使い方が可能になると同社では説明している。

  • 車載機器におけるマルチディスプレイ情報の伝送例

    車載機器におけるマルチディスプレイ情報の伝送例 (出所:ザインエレクトロニクス)

また、THCV353-Qは画像データを分割伝送するのに加え、音声データも同一伝送路での伝送が可能なため、インフォテインメント用途でシステムLSIから映像と合わせて出力される音声信号を映像と同じ伝送路で送信することでシステム構成を簡素にすることができるようになるほか、汎用入出力信号伝送のためのGPIO信号を高速で伝送できるため、設計の自由度を高めることも可能になるともしている。

さらに、電波干渉を避けることを目的に光伝送モードを適用して、光ファイバーで画像データを伝送することも可能だという。

なお、同社ではシステムLSIからの出力としてMIPI DSIとLVDSの両方を利用する場合はTHCV353-Qのほかに、LVDS対応の「THCV333-Q」を利用する選択肢も用意しているとのことで、高解像度カメラ向け情報伝送システムのラインアップ拡充と合わせて多様なユースケースでの利便性の高い活用につながるように事業展開を進めていきたいとしている。