【遠隔で化粧品の触り心地が分かる?!】資生堂とNTTが技術開発の共同研究開始

資生堂と日本電信電話(NTT)は9月8日、化粧品の触り心地を遠隔・非接触で体験できる技術開発に向けた共同研究を開始した。両者の知見と技術を融合し、時間や場所などの制約を超えて多様なニーズに応える新たな体験機会の創出を目指す。

資生堂とNTTは、資生堂の感性科学研究の知見と、NTTの非接触情報提示技術を融合し、遠隔・非接触でも、化粧品の触り心地を視覚や聴覚を通して体験できる技術の開発を目指し、共同研究を開始した。

資生堂は感性科学研究において、肌触りや化粧品の感触に関する知覚メカニズムの知見、心地よい感触を生み出す製剤化の知見を提供。NTTは質感を伝達する非接触情報提示技術や質感の錯覚に関する知見を提供する。

現在のオンライン販売では、化粧品の触り心地を伝える手段は限られており、動画や言語表現による情報提供が主流だ。今回の共同研究では、人間が化粧品基剤に触れた時の触り心地を視覚や聴覚など複数の感覚の視点で探り、最終的には、化粧品基剤の触り心地をさまざまな感覚で再現する感覚インターフェースを実現する。この感覚インターフェースを活用することで、オンライン販売など実際の商品やテスターに直接触れることが難しい状況でも、生活者が触り心地を体験できる新しい機会を創出し、個々の多様なニーズやライフスタイルに合った化粧品の選択や購入が可能になる世界を目指す。

今回の取り組みについて、資生堂 エグゼクティブオフィサー チーフテクノロジーオフィサー 東條洋介氏は、「資生堂は2030年ビジョンとして、スキンビューティーを拡張し、生涯を通じて自分らしい健康美を実現する『「Personal Beauty Wellness Company』を掲げています。その実現に向け、当社は生活者のニーズの変化や多様化、社会の潮流を敏感に捉え、期待を超える価値の創出を追求しています。本共同研究は、『感覚コミュニケーション』による新たなビューティー体験の創出につながると考えています。この体験が、デジタル化され利便性が上がった社会の裏側で、同時に生活者が感じている孤立感や満たされたいといった気持ちにも応える新しい体験となることを期待しています。今後も、当社の強みである感性科学研究を発展させ革新的な体験創出を加速していきます」と述べた。

日本電信電話 執行役員 研究企画部門長 木下真吾氏は、「NTTは、2023年に新中期経営戦略『New value creation & Sustainability 2027 powered by IOWN』を掲げ、テクノロジーによる新たな価値創造を通じ、人々のWell-beingの向上に努めてまいります。そのためには、従来のデータ中心の情報処理に加え、人々の感性や情動などの深い理解が必要となります。資生堂は『BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)』を企業使命とする化粧品事業のリーディングカンパニーであり、人々の感性や情動に関して卓越した知見と技術を持っています。今回、資生堂と共通のビジョン実現に向けて、研究開発の連携を行えることを大変嬉しく思います」とコメントした。