富士通が2020年10月に開始した「Fujitsu Transformation」、通称「フジトラ」。同社が掲げるパーパス「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」と現状のギャップを埋めるために始まった、富士通自身の変革プロジェクトだ。
同社は従業員の声を取り入れながらフジトラを推進するため、社員参加型のFujitsu Transformation Now(以下、FXN)を3カ月に1回のペースで開催している。FXNはフェス形式で開かれるDXの見本市と位置付けられており、多数のセッションでDXの事例などが紹介される。
今回、筆者もFXNに参加する機会をいただいた。セッションの一つとして、フジトラ推進の立役者であるCDXO(最高デジタル変革責任者)兼 CIO(最高情報責任者)の福田譲氏への公開取材を実施。率直な質問をぶつけてみた。本稿ではその様子についてお届けしたい。取材側として「EnterpriseZine」(翔泳社)の竹村氏も一緒に参加した。
フジトラに含まれる4つの変革
まずは、フジトラの概要と具体的な取り組みについて紹介しよう。言うまでもないが現代はITの高度化とともに、ビジネス環境の変化が激しさを増している。そうした中で同社は、既存事業である従来のIT企業としての基盤をベースとしながら、DX(デジタルトランスフォーメーション)を含む新たなデジタル領域での事業拡大も狙う。そのためにも、富士通自身の変革が不可欠だ。
そこで、経営と現場が一体となり、全社の全員が参加して取り組むプロジェクトを同社は開始した。これこそがフジトラである。フジトラでは時代に合わせた変革を目的としており、デジタル技術やデータはあくまでも手段だと捉えている。
フジトラにおいて重視されるポイントは3つ。「経営のリーダーシップ」「現場が主役」「カルチャー変革」である。社長の時田隆仁氏をはじめ経営層が強いリーダーシップを持ちながらフジトラを推進する。それと同時に各組織にDX責任者を置き、DX責任者らがコミュニティを形成して部門ごとにプロジェクトを進める。有志を募り、現場での変革を図る。
大きく一言でフジトラと言っても、その中には小さな4つの変革が含まれる。事業の変革であるCX(Customer Transformation)、マネジメントの変革であるMX(Management Transformation)、オペレーションの変革であるOX(Operation Transformation)、人と組織の変革である(Employee Transformation)だ。これらが互いに連携しながら、さまざまなプロジェクトが進められている。
現在までに約150のプロジェクトテーマが生まれ、これらはアジャイルの手法によって3カ月ごとにアップデートされているという。こうして生まれた事例が、FXNなどの場で共有され社内に展開される。