海外で人気の「アニメ」「ゲーム」「食品」など発表【BEENOSが上半期「越境ECトレンド」解説】

BEENOSは8月22日、2024年上半期(1~6月)の 越境ECサービス「Buyee(バイイー)」における越境EC販売動向をまとめた「BEENOS 越境EC×2024年上半期トピックス」を発表した。越境ECの動向や意識調査から海外消費者のインサイトに迫った。もっとも購入件数の多かった分野は「トレーディングカード」、昨年同期比のカテゴリ伸長率がもっとも高かったのは「アニメ・コミックグッズ」だった。

BEENOSが提供する「Buyee」の流通総額は、越境EC市場伸びとともに拡大している。特にアメリカからの購入が多いという。

BEENOSの直井聖太CEOは、「2024年もBuyeeの流通も伸びた。環境としては円安がさらに加速したことが大きかった。2024年にBuyeeの海外ユーザーの会員数は550万人を突破している」と話す。

▲BEENOS 直井聖太CEO

BEENOSはこれまで、ECを通じた日本企業の海外進出を後押しすべく、「Buyee」の購買データに基づき、「世界総オタク化」といった海外の消費トレンドの発信を続けてきた。

インバウンドが急速に復活する中で、日本発コンテンツの海外市場拡大への注目の高まりを受け、BEENOSが越境ECの動向や意識調査から海外消費者のインサイトを分析する。「BEENOS 越境EC×2024年上半期トピックス」を紹介することで、日本企業が越境EC市場に参入を検討する際の参考としてもらい、日本の商品の魅力を世界中に届け、越境ECをさらに拡大させる一助となることを目指す。

<人気カテゴリ1位は「トレーディングカード」>

2024年上半期に購入件数の多かった分野をまとめた「人気カテゴリTOP10」は、「トレーディングカード」がランキング1位となった。国内外で人気が高まることで増刷や商品の多様化が進み、海外ユーザーにとっても買いやすい環境が整ったことで越境ECの流通増加につながった。

昨年同期比のカテゴリ伸長率による「伸長カテゴリTOP10」の1位は「アニメ・コミックグッズ」となった。さまざまな日本のアニメ作品が、動画配信サービスを通じて世界に届けられることで各地にファンを生み、ファンがグッズを購入するための手段として越境ECを利用することで伸長している。

<クールジャパン戦略で10年後に50兆円市場へ>

6月に政府より発表された「新たなクールジャパン戦略」では、コンテンツ、インバウンド、食、ビューティなどの海外展開を現在の19兆円から2033年に50兆円まで拡大する方針が掲げられた。

▲BeeCruise 岩本夏鈴氏

BEEENOSグループで日本企業の海外進出を支援するBeeCruiseの岩本夏鈴氏は、「政府はクールジャパン戦略において、2033年までに現在の2倍以上となる50兆円の市場規模まで拡大する野心的な目標を掲げている。そうした戦略に加え、円安の進行が日本のIPの消費を後押ししている。当社の海外ユーザーのアンケートでも66.8%の方が円安の進行により日本の商品を購入する機会が増えたと回答した。実際、『Buyee』を通したアニメグッズカテゴリの購入件数は2021年上半期と比較して、2024年上半期は約3.3倍伸びた」と話す。

新たなクールジャパン戦略関連分野の販売動向として、「アニメ分野」「音楽分野」「ゲーム分野」「マンガ分野」「特撮分野」の越境ECTOP10をまとめた。

<上半期の放送開始アニメでは「鬼滅の刃 柱稽古編」が1位>

アニメ分野では、「2024年上半期に放送開始したアニメ」を対象にランキングを作成し、「鬼滅の刃 柱稽古編」が人気1位となった。エリア別のメインユーザーを見ると、アニメ分野の商品は20代を中心に若い世代の男女がアニメグッズを購入しており、若年層へのアニメカルチャーの浸透が伺える結果となった。

<J-POP人気アーティスト1位は「Ado」>

音楽分野では、CDやレコード等の音声メディア、DVD等の映像メディア、アーティストの関連グッズからランキングを作成。2024年の上半期で最も人気のあるアーティストは「Ado」となった。エリア別のメインユーザーは、50代男性と20代女性に大きく分けられ、50代男性はレコード、洋楽ロック、クラシック等「長年の趣味」を、20代女性はJ-POP、K-POPなど最新のポップスを楽しむ傾向にあることがわかった。また、レコードやカセットテープなどアナログ商品の購入も増加している。

<モバイルゲームグッズ1位は「プロジェクトセカイ」>

ゲーム分野では、家庭用ゲームのファミコンやゲームボーイなどレトロ消費が進む一方、モバイルゲームのグッズも海外ユーザーから購入されている。2024年上半期にもっとの人気の作品は、「プロジェクトセカイ カラフルステージ!feat 初音ミク」となった。エリア別のメインユーザーは30~40代の男性となった。

<マンガの作品・作家1位は「ドラゴンボール・鳥山明」>

マンガ分野では、マンガ作品の文庫本、単行本、マンガ作品画集を対象にランキングを作成した。2024年上半期にもっとも人気が高い作品・作者は「ドラゴンボール・鳥山明」だった。映画公開で注目された「ハイキュー!!」が2位を獲得した。エリア別のメインユーザー層は20~30代の男性が多い結果となった。

<特撮1位は「『仮面ライダー』シリーズ」>

特撮分野は、1位の「『仮面ライダー』シリーズ」をはじめ、上位5作品で流通全体の9割を占めていることが特徴となった。「『仮面ライダー』シリーズ」では2024年放送の「仮面ライダーガッチャード」、スーパー戦隊シリーズでは2023年から2024年にかけて放送された「王様戦隊キングオージャー」がそれぞれもっとも人気の高い結果となった。

また、映画「ゴジラ-1.0」が好調な「『ゴジラ』シリーズ」では「ゴジラ」、2022年に映画「シン・ウルトラマン」が公開され、2024年6月からネットフリックスで「Ultraman: Rising」が世界配信されている「『ウルトラマン』シリーズ」では「ウルトラマン」がもっとも人気の高い結果となった。

クールジャパン分野として、「飲食品分野」「アート分野」「ファッション分野」「ビューティ・ヘルスケア」についてもまとめた。

<飲食品分野の人気1位は「ウイスキー」>

飲食品分野の人気のジャンルは、アルコールが中心となった。人気1位の「ウイスキー」では「山崎」や「響」など、ジャパニーズウイスキーが東アジア地域から購入されている。人気2位の「お菓子」ではチョコレートが人気で、北米から多く買われている。比較的安価なため、詰め合わせやまとめ買いの購入が多いことが特徴となる。

<アート分野の人気1位は「陶芸」>

アート分野で海外人気が高いジャンルの1位は「陶芸」となった。配送料の兼ね合いか、東アジアエリアからの購入がもっとも多くなっている。その他、浮世絵や掛け軸等が人気となっている。

<ファッション人気1位はレディスが「バッグ」、メンズが「Tシャツ」>

ファッション分野は、20~30代の男女に人気の高いジャンルで、女性ユーザーは「バッグ」や「小物」、男性ユーザーは「Tシャツ」や「ジャケット」を好んで購入していることがわかった。

<美容・健康分野の人気1位は「基礎化粧品」>

ビューティ・ヘルスケア分野でもっとも人気が高いジャンルは基礎化粧品だった。各エリアのメインユーザーは20代の女性が多いが、コンタクトレンズやヘアケアなどを男性ユーザーも購入をしている。

世界の人口とGDPは拡大を続け、インターネットをはじめとしたテクノロジーが世界中をボーダレスにつないでいる。クールジャパン関連分野をはじめとする日本のコンテンツは、例えばアニメや音楽であれば配信サービスなどを通じて世界中の人々が楽しむことができ、関連するグッズや商品も越境ECで購入できるようになった。

日本の推進する新たなクールジャパン戦略の関連分野は、コンテンツとインバウンド、日本食を組み合わせることで日本ファンを増やし、日本ブランドの向上を目指している。

BEENOSグループは、これまで越境ECのリーディングカンパニーとして、複数サイトから購入した商品をまとめて配送する同梱サービスや、対応言語の拡大、決済手段の拡充、安価かつ短期間で商品を届ける配送プランの開発など、海外販売に関するサービス改善に努めて連携企業を拡大し、日本企業の海外進出をサポートしてきた。

今後も日本文化の海外販売を支援し、日本と海外をボーダレスにつなぐことで海外の消費者がより快適に購入できる環境を提供し、新たなクールジャパン戦略に資するとともに、日本企業の海外販売を進めやすい環境の構築を推進していく考えを示した。