日本マイクロソフトは9月12日、企業のIT、セキュリティ、コンプライアンス担当者などを対象にしたイベント「Microsoft Digital Trust Summit 2024」を開催した。同イベントでは、7月に一般提供が開始された「Microsoft Entra Suite」に関する最新機能や事例などが紹介された。

  • 「Microsoft Digital Trust Summit 2024」会場の様子

    「Microsoft Digital Trust Summit 2024」会場の様子

「Microsoft Entra Suite」とは?

同イベントでは、ID基盤群製品「Microsoft Entra」シリーズの機能も紹介された。Entraは主にプライバシーの保護やIDガバナンスの強化を目的としている群製品。Entraを導入することで、従業員はアプリケーションやデバイス、ワークロードなどで利用するIDの一括管理が可能になり、さまざまな環境に対しても安全にアクセスできるようになる。

基調講演に登壇した米マイクロソフト アイデンティティ製品マーケティング担当 ジェネラルマネージャーのイリーナ・ネチャエワ(Irina Nechaeva)氏は、「Entraは、すべてのIDに対して、どこからでも、あらゆるアプリ、AI、リソースに安全なアクセスを可能にする」と説明した。

  • 米マイクロソフト アイデンティティ製品マーケティング担当 ジェネラルマネージャーのイリーナ・ネチャエワ(Irina Nechaeva)氏

    米マイクロソフト アイデンティティ製品マーケティング担当 ジェネラルマネージャーのイリーナ・ネチャエワ(Irina Nechaeva)氏

そして同社は7月に従業員向けの包括的なゼロトラストユーザーアクセスソリューションを提供する「Microsoft Entra Suite」の一般提供を開始した。Entra Suiteを導入することで、組織はユーザーIDやエンドポイントを対象に、プライベートネットワークとパブリックネットワークの双方にまたがって、アクセスポリシーを統合できるようになる。

Entra Suiteには、ID中心のゼロトラストネットワークアクセス「Microsoft Entra Private Access」と、 SaaSアプリとインターネットトラフィック向けのID中心のセキュアWebゲートウェイ「Microsoft Entra Internet Access」、包括的なIDガバナンスおよび管理ソリューション「Microsoft Entra ID Governance」、リアルタイムでIDの侵害を防ぐIDソリューション「Microsoft Entra ID Protection」、オープンスタンダードに基づく管理された検証可能な資格情報サービス「Microsoft Entra Verified ID」の5つの製品が含まれる。

  • 「Microsoft Entra Suite」に含まれる5つの製品

    「Microsoft Entra Suite」に含まれる5つの製品

ネチャエワ氏は「Entra Suiteは、IDとネットワークの条件付きアクセスポリシーの統合を実現し、すべてのリソースやアプリにアクセスするユーザー全員に最小特権アクセスを保証する。また、オフィスワーカーとリモートワーカー両方のユーザーエクスペリエンスを向上させ、複数ベンダーにまたがるセキュリティツール管理による複雑さとコストを削減する」と説明した。

ID中心の運用を実現する集英社

『週刊少年ジャンプ』などの雑誌を発行する総合出版社の集英社では、ID中心の運用( Identity-Centric Operation )を目指し、マイクロソフトのIdP(Identify Provider)「Microsoft Entra ID (旧Azure Active Directory)」を導入している。

同社では、Entra IDからSSO(シングルサインオン)できるアプリケーションが40個以上あり、条件付きアクセスを利用して危険なサインインは自動でブロックするようにしている。 Microsoft

  • 集英社はID中心の運用を実現している

    集英社はID中心の運用を実現している

集英社 IT戦略企画部 DX推進室 係長の須藤明洋氏は「集英社ではEntra IDを経由した認証を中心にした運用を実現しており、当然デバイスもEntra ID経由でログインできるようになっている。また、パスワードレス認証も実施しており、『Active Directory(AD)』のパスワードのランダム化も実現。各種運用自動化も可能にしている状況だ」と説明した。

  • IT戦略企画部 DX推進室 係長 須藤明洋氏

    IT戦略企画部 DX推進室 係長 須藤明洋氏

また、同社は7月に一般提供が開始されたEntra Suiteも導入済みだ。Entra Suiteを活用して入退時退社時の処理の自動化などを実現し、セキュアで利便性の高い環境を構築している。「ユーザー利便性と、管理者の運用効率を共に向上させている。組織の強さを引き上げることにつながっている」(須藤氏)