テレ、「テレAIカート」を正式ローンチ 会員登録の煩わしさをボイスコマースで解決

AI技術と電話を組み合わせたボイスコマースプラットフォームを開発・提供するテレは9月4日、これまでに実証実験を進めてきた「eショップボード」に、ECサイトのかご落ちを防ぐ電話受付専用サイト機能を追加し、「テレAIカート」として正式にローンチした。「タップ」と「声」だけで注文が完結する新しい消費体験を提供し、事業者の顧客獲得単価(CPA)削減を支援する。

テレが正式ローンチした「テレAIカート」は、スマホ画面で商品を選び、電話で注文受付するボイスコマースプラットフォーム。商品の選び方は、従来のECサイトと同様で、ほしい商品をタップして買い物かごに入れることができる。

注文手続きは、「注文へ進む」をタップすると表示される専用の電話番号に電話して行う。自動音声に従い、「氏名」や「住所」などの必要情報を告げるだけで完了するため、一般的なECサイトでの注文手続きで必要なフォームへの「文字入力」が不要という特徴を備える。

▲テレAIカートの注文の流れ

 

購入者により吹き込まれた音声データは、AIにより自動で受注データとして処理されるため、事業者側は入電対応のために人員を配置する必要なく、「24時間365日電話注文を受け付ける」という新たな販売チャネルを、最低限のリソースで構築できる。

「テレAIカート」は、これまで実証実験を進めてきた「eショップボード」に、ECサイトのかご落ちを防ぐ電話受付専用サイト機能を追加したもので、ECサイトで商品を買い物かごに入れたが、購入までに必要な「メールアドレス・パスワード入力・支払い方法の登録などの入力作業が苦手」で離脱する人に向けて、買い物かごに選択した商品が入ったまま「テレAIカート」へ誘導し、電話で簡単に注文できるよう促すことができる。導入費用は、システム利用料(月額約2万円)と成果報酬となる。

健康食品メーカーの商品LPに「テレAI」での「電話受付導線」を活用した実証実験では、期間中に1日平均7件電話経由での注文を受注した。ECでは購入しなかった人が購入したことで、「テレAIカート」の利用料を含めても顧客獲得単価(CPA)の大幅削減に成功したとしている。

コロナ禍を機に、ECを開始する事業者が増加し、ECサイトへの流入を目的としたWeb広告の単価が高騰しており、顧客獲得単価(CPA)も上昇している。EC事業者は「かご落ち」を防ぎ、顧客獲得単価(CPA)を数百円下げるた、商品LPやバナー改変、離脱フォローなどさまざまな施策を展開している。

一方、消費者の中には、Web広告で商品に興味を持ちECサイトに訪れ、買い物かごに商品を入れたものの、その後の会員登録が面倒・できないという理由で離脱する人も多いと推察できる。事実、野村総合研究所が発表したデータによると、60代では58%、70代では80%がネット通販を利用しておらず、テレが試算したところ、その数は約2200万人となることが分かった。

ECにおける顧客獲得単価(CPA)価格の高騰という事業者の課題、通販を利用したいが会員登録が面倒・できないため購入を諦める消費者側の課題の双方を、ボイスコマースプラットフォームの活用により解決できるとの考えから、今回の機能開発に至ったとしている。

「テレAIカート」の導入により、消費者はEC・電話のどちらで購入するかが選択可能となる。事業者の「コールセンターの人数を確保できない」「24時間365日は電話注文に対応できない」といった理由でこれまで実現しなかった、「ほしいと思ったもの探すのはWeb(ECサイト)で、注文は電話で」が実現可能となることで、「ECが次のフェーズに移行する(EC化率上昇の)きっかけになる」との考えを示した。

「テレAIカート」のリリースを記念し、「テレAI」「テレAIカート」の利用を開始した場合、初月の月額利用料を無料にするキャンペーンを実施する。アカウントの発行期限は10月31日まで、先着30社限定のキャンペーンとなる。