Celonisは9月6日、オンラインでプロセスマイニングの最新動向に関するメディア向けにラウンドテーブルを開催した。説明は、Celonis カスタマートランスフォーメーション担当副社長のラース・ラインケマイヤー氏が行った。

  • Celonis カスタマートランスフォーメーション担当副社長のラース・ラインケマイヤー氏

    Celonis カスタマートランスフォーメーション担当副社長のラース・ラインケマイヤー氏

価値から物事を考えるCelonis

Celonisのアプローチは「インサイト+アクション=価値」としている。ラインケマイヤー氏は「インサイトはアクションを伴わなければ意味がない。とはいえ、アクションはインサイトを伴わなければ手探りになる。そして、どのような価値を求めているのかを理解することが重要となる。10年程前にプロセスマイニングが始まった時に当社が取ったアプローチはインサイトにもとづいてアクションを起こすということだったが、現在の当社は価値から物事を考えるようにしており、どのような目的・問題があるかを理解したうえでアクションを起こして、どのようなインサイトが必要なのかという考え方に変化してきている」と述べた。

  • Celonisのアプローチ

    Celonisのアプローチ

同氏によると、企業では多くの定義されたプロセスを持っているが、実際は価格や時間、数量をはじめ、さまざまな箇所で変化が起きて非効率になっているという。Celonisのプラットフォーム「Celonis Execution Management System(EMS)」は、こうしたプロセスを把握したり、起こすべきアクションを支援したりすることなどができる。

ラインケマイヤー氏は「Celonisを使えば、SAPやOracle、Salesforceなど、さまざまシステムからデータを連携し、プロセスを把握して可視化することができる。データソースからイベントログを集めて、プロセスデジタルツインやビジネス上の文脈(コンテキスト)といった当社におけるデータのバックボーンとなる“プロセスインテリジェンスグラフ”として処理する。調達や物流、財務などすべてのデータを網羅できる。そして、プロセス改善、モニタリング、プロセス自体の変革を行う。将来的には、Copilot機能やレコメンデーション、事前構築・カスタムアルゴリズムなどのAIも活用していく」と説明した。

  • Celonisのプラットフォームは、アクションを起こすために可視化してプロセス変革につなげることができるという

    Celonisのプラットフォームは、アクションを起こすために可視化してプロセス変革につなげることができるという

同社のプラットフォームの利用により、定量的な価値としては売上や労働生産性、支出削減、運転資本などを、定性的な価値では効率性・拡張性、ビジネス支援、顧客満足、サステナビリティ、監視・リスク・コンプライアンス、データインサイトなどを挙げている。

  • Celonisのプラットフォームで得られる定量的・定性的な価値

    Celonisのプラットフォームで得られる定量的・定性的な価値

こうしてCelonisを用いて“価値”を創出したユースケースとしてPepsicoが紹介された。同社ではプロセスマイ二ングを目に見える測定可能な成果に結びつけてビジネスケースをサポートすることに取り組んだ。

Celonisにより付随的な追加のユースケースを絞り込み、注文、活用を行うための戦略を策定し、社内でツール投資の正当性を担保して共感が得られたという。成功要因としては着地点と目標の明確化、堅牢な枠組みで改善機会の特定、実施に向けた明確なアプローチ、測定プラン・各種KPIなどが功を奏したとのことだ。

  • Pepsicoの事例

    Pepsicoの事例

活性化するCelonisコミュニティ

このようにCelonisを活用して変革を実現したユーザーを同社は「チェンジメーカー」と呼び、コミュニティ活動を促進している。コミュニティはピラミッドの上から「チャンピオンズリーグ」「変革リーグ」「CoE構築済み」の3つに分けている。

現在、2022年に設立したチャンピオンズリーグの所属企業は66社に達し、認定要件は1000万ドル以上の価値を実現し、10人以上のCoE、100人以上のアクティブユーザーなどとなり、変革リーズは100万ドル以上の価値を実現した企業を対象にしている。

  • 「チェンジメーカーコミュニティ」の概要

    「チェンジメーカーコミュニティ」の概要

一方、日本のコミュニティ関する情報についてはCelonis日本法人の代表取締役社長である村瀬将思氏が説明した。

現在、日本では「Celonis Executive Community」「Celonis Champion Club」「Celonis User Group」などのコミュニティが存在する。

  • 日本におけるコミュニティの概要

    日本におけるコミュニティの概要

Celonis Executive Communityは、ユーザー、非ユーザー問わず、各社でビジネス変革の中枢を担うエグゼクティブのを招いて「データを活用したビジネス変革」とは何か、先駆者の最新事例の共有も行い、相互に有益な情報交換会を四半期ごとに開催。今後、CFO(最高財務責任者)やCSCO(最高サプライチェーン責任者)に拡張していく。

Celonis Champion Clubは、社内導入を率いる導入リーダーを対象とし、経験やチャレンジの共有、同社のプロセスインテリジェンスグラフに関わる情報を提供しており、対象企業を拡大する。

Celonis User Groupは文字通りユーザーグループとなり、Celonisを自社のビジネス効率化基盤として活用するための情報交換や相互の利用技術の向上を目指すとともに、各ユーザ企業のビジネス変革を狙うというもの。近く、分科会に拡張するほか、Celonisの日本でのパートナー戦略や取り組み、成功体験の共有を行う「CeloPEG」の開催も予定している。