米国商務省産業安全保障局(BIS)が9月5日(米国時間)、半導体や量子コンピュータなど重要・新興技術の輸出管理に関する新たな暫定最終規則(IFR)を発表し、同6日付の官報で公示、発効した。BISは最終規則(FR)の策定に向けて、官報公示日から60日間、パブリックコメントを受け付けており、60日後に正式の輸出管理規則として制定されることとなる。

BISは、軍事用途の重要技術が出現し、進化し続けるにつれて、半導体や量子コンピュータなどの重要・新興技術の技術が米国の国家安全保障や外交政策に反する目的で使用されないように、その移動を規制する必要性が高まっているとし、今回のIFRでは、次のような特定の種類の品目に対して世界的な輸出規制を実施する。

量子コンピューティング関連

量子コンピュータ、関連機器・部品・材料、ソフトウェア、量子コンピュータの開発・保守に使用可能な技術。

先端半導体製造装置関連

先端半導体デバイスの製造に不可欠な装置と機器。

GAA FET(Gate All-Around Field-Effect Transistor)技術関連

スーパーコンピュータで使用できる高性能コンピューティングチップを製造または開発する技術。

付加製造(いわゆる3Dプリンティング)関連

金属または金属合金部品を製造するために設計された機器、部品、関連技術およびソフトウェア。

BISは今回発表したIFRについて、有志国との関係を強化し、悪用されれば国家安全保障に深刻な脅威を及ぼし得る技術の急速な進展に米国の輸出管理の仕組みを適合させるものだとしている。

また、主に重要・新興技術に関連する品目について、米国と同等の管理措置を講じている有志国に向けて輸出・再輸出する際に、BISの輸出許可の事前取得を例外的に不要とする制度「許可例外適用輸出管理(IEC:License Exception Implemented Export Controls)」を設ける。IEC対象の仕向け国は、米国内での国内移転のほか、日本、英国、イタリア、フランス、ドイツ、スペイン、オーストラリア、カナダの8カ国が定められている。

BISは今回の発表にて、複数の有志国が半導体など重要・新興技術の関連する品目の輸出規制を発表・導入しているとしているほか、さらに多くの国々が同様の規制を近く導入すると期待しているとして、さらに有志国間での連携を強めるとしている。