TSMCは7月18日、2024年第2四半期の決算説明会を開催した。それによると、同四半期の連結売上高は前年同期比40.1%増、前四半期比13.6%増の6735億1000万NTドル、純利益は前年同期比36.3%増、前四半期比9.9%増の2478億5000万NTドルとなり、ともに過去最高額を更新した。
AI関連を中心とした先端プロセスニーズをほぼ独占的に受注していることが背景にあり、アプリケーション別の売上高比率を見てもHPC向けが52%と過半を占めている。一方、これまで半導体産業をけん引してきたスマートフォン(スマホ)向けは全体の1/3となる33%まで低下している。
3nmの売り上げが増加
また、同四半期の売上高をプロセス別にみると、3nmが15%、5nmが35%、7nmが17%と同社の定義する先端プロセスで全体の67%を占めている。中でも3nmは前四半期9%であったものが15%まで拡大しており、今後も伸びる模様である。
地域・国別の売上高比率を見ると、北米65%、中国16%、アジア太平洋(日本・中国を除く)9%、日本6%、EMEA4%となっており、中国の比率が前四半期は9%であったものが16%に増加したことが注目される。
2024年通期売上高予測を上方修正
TSMCの上級副社長兼最高財務責任者であるウェンデル・フアン氏は、「第2四半期は、3nmおよび5nm技術に対する強い需要に支えられたが、スマホの季節性低迷で部分的に相殺されたところがある。第3四半期に向けては最先端プロセス技術に対するスマホとAI関連の強い需要が事業を支えると予想している」と述べており、おそらく秋に発売されるであろうApple iPhoneの新製品がスマホ需要をけん引するとの見方を示した。
そのため、第3四半期のガイダンスとしては売上高については224億ドル~232億ドル(1ドル=32.5NTドルの為替レートを前提、売上総利益率は53.5%~55.5%、営業利益率は42.5%~44.5%)と予想している。
また、2024年通期の売上高については、第2四半期の好業績に加え、第3四半期も好調な見通しを背景に、これまでの前年比20%台前半か半ばとの予測から、20%半ばをやや上回るレベルへと若干ながら上方修正している。
なお、米国大統領選挙の共和党候補に指名されたトランプ前大統領が最近、「台湾は、米国の半導体ビジネスを奪った、台湾は防衛費を(米国に)支払うべきだ」といった台湾ならびに台湾半導体産業に対する発言をしたことを受け、台湾の政府や半導体業界関係者が動揺し、TSMCの株価が急落する場面があったが、6月にTSMC会長に就任したC.C.Wei(魏哲家)氏は今回の決算説明会にて、米国、欧州、日本への工場進出計画の変更は考えていないと発言している。