米バイデン大統領の米国半導体投資政策の一環として、米国商務省は7月9日(米国時間)、半導体の先端パッケージングに対する米国内における生産能力の確立を加速させることを目的に、「国立先端パッケージング製造プログラム(National Advanced Packaging Manufacturing Program:NAPMP)」に16億ドル(約2560億円、1ドル160円換算)の資金提供を行い、以下の5つの分野の先端パッケージング製造に関連した研究開発および試作プロジェクトを公募すると発表した。

  1. 製造装置、ツール、プロセス、プロセス統合
  2. 電力供給と熱管理
  3. フォトニクスと無線周波数(RF)を含むコネクタ技術
  4. チップレット・エコシステム
  5. 共同設計、電子設計自動化(EDA)

助成対象となるプロジェクト各分野ともに複数の案件が選定される予定で、対象となったプロジェクトに対しては、1件当たり約1億5000万ドル(約240億円)が拠出される。

今回の研究開発プロジェクトに対する申請者は、米国内に設立された米国の事業者であることが想定されており、日本企業など非米国事業者が申請者のプロジェクトパートナーとして参加する場合は、当該海外パートナーの関与が不可欠であることを示す書面の提出が求められるという。なお商務省では、先進的なパッケージングにおけるイノベーションに必要なあらゆる専門知識と能力を結集するため、特定の事業体が単独で申請するのではなく、製造、サプライチェーン、顧客、産業、非営利団体、学術組織など、各セクターにまたがるコンソーシアムでの応募を強く推奨している。

ジーナ・レモンド米国商務長官は、「バイデン大統領は、米国国内に活気ある半導体エコシステムを構築する必要性を明確にしており、先進的なパッケージングはその大きな部分を占めている。米国は全国に複数の先進的なパッケージングの選択肢を持ち、新しいパッケージング技術の限界を押し広げることになる。今回の発表は、米国で質の高い雇用を創出し、先進的な半導体製造のリーダー国となるために不可欠な最先端の研究開発に投資するという私たちの取り組みの最新例である」と述べている。

また、国立標準技術研究所(NIST)のローリー・E・ロカシオ所長は、「NAPMPは、強固な研究開発によって推進されるイノベーションを通じて、米国のパッケージング部門が世界をリードすることを可能にする。今後10年以内に、米国内および海外で製造された先端プロセスを採用したチップを米国内でパッケージングできる国内パッケージング産業を創出し、最先端のパッケージング機能を通じて革新的なデザインとアーキテクチャを実現できるようにする」と述べている。