三菱電機は、衛星通信(SATCOM)の地球局の送信機向け高周波デバイスとして「Ka帯 衛星通信地球局用GaN MMIC電力増幅器」2製品のサンプルの提供を7月1日より開始することを発表した。

現在の衛星通信の主流周波数はKu帯(13~14GHz)だが、Ku帯と比較して周波数が高いKa帯(27.5~31GHz)は、衛星からの電波の放射パターン(ビーム)が絞りやすく、幅の狭いビームを複数照射することが可能なため、情報伝送容量を拡大させることができるようになる。また、衛星通信は、さまざまな国や地域、用途での利用が拡大しており、利用可能な周波数が逼迫しているため、Ku帯と比較して広い帯域幅が割り当てられたKa帯の活用が進むことが期待されている。

今回、同社がサンプル出荷を開始するのは、Ka帯に対応した出力電力8W品と14W品で、同社ではKa帯 衛星通信地球局の送信機に求められる出力電力や周波数などに対応することで、情報伝送量の大容量化が可能なKa帯 衛星通信を可能とするほか、高出力・高効率動作が可能なGaN HEMTを小型MMIC上に形成したチップとすることで、業界最小クラスのチップサイズながら、最大線形出力電力で電力付加効率20%以上を実現し、Ka帯衛星通信地球局の送信機の小型化と低消費電化を可能にするという。

なお、同社ではすでにラインアップしている「Ku帯 衛星通信地球局用GaN HEMT電力増幅器」9製品に加え、今回、Ka帯 衛星通信地球局用GaN MMIC電力増幅器2製品を加えることで、さまざまな国や地域、用途に合わせた衛星通信の普及拡大につなげていきたいとしている。

  • Ka帯衛星通信地球局向け送信機の構成例

    Ka帯衛星通信地球局向け送信機の構成例 (出所:三菱電機)