TSMCの魏哲家(C.C.Wei)CEO兼社長(当時、現会長)をはじめとする複数の経営幹部やリソグラフィ担当技術者らが5月下旬、オランダにあるASMLの本社およびimec-ASML High-NA Labを訪問していたことをASMLのChristophe Fouquet CEOがLinledinに投稿する形で明らかになった。TSMCは高NA EUV露光装置について価格的な面で先送りを示唆していたが、この訪問を受けて、年内にも導入するための交渉が行われたのではないかとの憶測が業界内に広まっている。

こうした憶測を裏付ける動きとして、ASMLは年内にも最高NA EUV露光装置をTSMCに出荷する可能性があることを、同社のロジャー・ダッセン最高財務責任者(CFO)が最近開催されたアナリストとの電話会議で述べたとBloombergが6月5日付で報じている

すでに台湾では、ASMLが台湾高雄市にてオフィスビルの賃借に関する契約を交わしたとの情報も出ており、高雄ではTSMCが2nmプロセス対応工場の建設を進めていることから、それに併せた動きとみられる。ASMLは、いずれ同工場向けに高NA EUV露光装置を供給するという。

ASMLは現在、台湾の新竹市、新北市、台中市、台南市に事務所を設置し、新北市には製造拠点を、台南には製造拠点とEUVのトレーニングセンターをそれぞれ設けており、延べ従業員数は4000人ほどで、TSMCをはじめとする台湾企業のサポートを行っている。