ルネサス エレクトロニクスは6月5日、インド工科大学ハイデラバード校(IITH)との間に、VLSIおよび組み込み半導体システム分野における3年間の産学連携に関する基本合意書を締結したことを発表した。

同基本合意書は、IITHの教員との研究開発や学術的な交流に重点を置き、インド半導体産業における技術革新に向けて同国政府が掲げる施策「Make in India」の発展に資することを目的としたもの。今回の基本合意書の締結により、IITHは、「自立したインド」の実現に向け、インド半導体産業の成長に貢献する人材の育成を推進することとなる。一方のルネサスは、インド国内トップクラスの教育機関との連携を通じる形でインドにおける優秀な従業員の増加を図り、インド市場での成長を図っていきたいとしている。

今年度については、ルネサスが大学の授業カリキュラムの開発ならびに同社の開発ボードを使用した実践的体験学習、研究室での実習やPoC(Proof of Concept:概念実証)プロジェクト推進を目的としたさまざまなアウトリーチプログラムの支援を開始するとしているほか、IITHの工学部生向けに、同社での6カ月間のインターンシップ応募機会に加え、ルネサスでの正規雇用を目指す機会を提供していくとしている。

IITHでは、今回の取り組みについて、インド全土の電子システム設計・製造(ESDM)分野の人材育成のために、先駆的な取り組みを行っていく中で、今回の相乗的な協力関係は、その取り組みを後押しするものだとコメントしているほか、次世代のエレクトロニクス製品をルネサスと共同開発できる、複数学科の専門的な教授陣が揃っているとし、そうした産学連携による研究開発の進展にもつながるともしており、将来的に世界でも有数の半導体企業で働く機会を得られることは学生にとっても有意義なものになるとしている。

なお、同基本合意書の調印式は、インド・テランガーナ州にあるIITHにおいて、ルネサスのCountry Head of India兼 アナログ&コネクティビティプロダクトグループ エンジニアリング担当シニアディレクターであるMalini Narayanamoorthi氏とIITH学長のB.S. Murty氏の間で執り行われましたという。

  • 左がルネサスのCountry Head of IndiaのMalini Narayanamoorthi氏、右がIITH学長のB.S. Murty氏

    調印式の様子。左がルネサスのCountry Head of IndiaのMalini Narayanamoorthi氏、右がIITH学長のB.S. Murty氏 (提供:ルネサス)