TSMCは5月14日、同日オランダ・アムステルダムで開催した年次イベント「TSMC Europe Technology Symposium」にて、A16プロセスに高NA EUVを適用しない可能性があると指摘したと台湾メディアが報じている。
それによると同イベントにて登壇したTSMCのビジネス開発および海外事業オペレーション担当SVPであるケビン・ジャン(Kevin Zhang)氏が語ったもので、「高NA EUVの能力については気に入っているものの、販売価格は高すぎて気に入らない」といった趣旨を述べたという。AMLの高NA EUV露光装置の価格は1台あたり3億5000万ユーロ(約590億円、1ユーロ=169円換算)とも言われている。
Kevin Zhang氏は、TSMCが2026年後半に量産を計画しているA16プロセスには必ずしも高NA(NA=0.55)EUV露光装置の使用が必要となるわけではなく、既存のNA=0.33のEUV露光装置を活用し続ける可能性があり、現時点のTSMCの技術力であれば既存のEUV技術でA16をサポートできるものとの見方を示したという。
また、高NA EUV露光装置の採用決定要因として、経済的なコストと達成できる技術とのバランスによるとの見方も示しており、TSMCが高NA EUVの導入をいつ頃に行う予定なのかなどについて明らかにしなかったともしている。
なお、他社に先駆ける形でIntelはすでにASMLの高NA EUV露光装置の商用1号機(試作向けモデル)を2023年12月末にもオレゴン州の自社試作工場に搬入を行っており、2027年に予定されているIntel 14Aプロセスによる量産適用に向けた技術検討を進めている。