米国商務省のジーナ・レモンド商務長官は、歴史的黒人大学(Historically Black Colleges and Universities:HBCU)と先進的半導体研究開発や教育で成果を上げているジョージア工科大学とのコラボレーション「HBCU CHIPSネットワーク」を立ち上げたことを2月9日付(米国時間)に発表した。

レモンド長官は2023年、半導体関連分野の卒業生の数を3倍に増やすよう米国内の大学に呼び掛けたが、現在、米国半導体業界では依然として労働力の不足が続いており、このままの状況が続けば2030年までに約30万人の半導体エンジニアと約9万人の工場労働者が不足すると商務省はみている。

今回のHBCUとジョージア工科大学の連携は、これまで半導体産業とは縁遠かったとされる、多くの歴史的黒人大学のリソースを活用することとなり、半導体製造において熟練した多様な労働力を将来的に確保していくことに役立つと商務省は説明している。

米国には19の州、コロンビア特別区、米領バージン諸島に101の公的および民間の認定HBCUがある。HBCUは、米国における科学、技術、工学、数学(STEM)分野の学士号全体の24%を授与している規模を有しており、HBCU CHIPSネットワークは、歴史的に十分なサービスを受けられなかった学生やコミュニティに半導体教育の機会を提供し、研究機関とそのサービスを受ける学生や研究者の地理的および制度的多様性を拡大することが期待されている。

なおレモンド長官は、「ジョージア工科大学と連携したHBCU CHIPSネットワークの立ち上げにより、半導体分野にあまり縁のなかった人たちに、アクセスと機会のギャップを埋めると同時に、国内半導体産業が必要な人材とイノベーションを確保するのに役立つ。HBCUの卒業生が就職した初日から半導体業界で仕事を始められるようにするために、HBCUがどのように民間企業と協力できるかを考えていただきたい」と関係者に呼び掛けを行っている。