空中タッチディスプレイ「La+ touch(ラプラスタッチ)」

TOPPANは高鮮明な映像が空中に浮き出てみえ、実際にディスプレイを触らず空中でタッチ操作を行うことができる空中タッチディスプレイ「La+ touch(ラプラスタッチ)」を2022年より販売している。2024年1月24日~26日にかけて東京ビッグサイトにて開催されている「第16回 オートモーティブ ワールド 2024」の同社ブースに、実機が展示されていたので、実際にその実力がどの程度のものなのか体験してみた。

  • 「La+ touch」の外観

    「La+ touch」の外観

新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響で人と人とが対面しなくとも操作ができるタッチパネルが多くの場所に導入された。しかし、不特定多数の人が画面に触れると人と人とは対面する必要はなくなったものの、パネルの表面における衛生的な問題があり、適切なタイミングでの拭き取りなどの消毒作業が必要になる。しかし、La+ touchの場合、パネル表面ではなく空中に映像(UI)が浮き出て見えるため、実際に画面をタッチしなくても操作することができる。

TOPPANの技術力で可能にした平行な空中映像の生成

La+ touchの最大の強みは、「薄型であること」だと担当者は語る。

通常、こうした空中タッチディスプレイを実現するには空中映像と液晶パネルを映像結プレートで縦につなげる方式が採用されているという。具体的には45度に傾けた液晶パネルを下部分に設置することで、上部分にて空中映像が映るという仕組みとなる。しかしこれでは液晶パネル分の面積が必要のため筐体サイズが大型化してしまい設置するにはそれなりの空間が必要だったという。

そこで同社は45度に傾けるのではなく筐体に対して平行に液晶パネルを設置して空中映像を生成する技術を開発。薄型化を実現したほか、およそ50%の低消費電力化も実現し省エネ化にも貢献しているという。

  • 筐体に対して平行な空中映像の生成を実現した仕組み

    筐体に対して平行な空中映像の生成を実現した仕組み (出所:TOPPAN)

薄型化することで筐体デザインの制約が少なくなりさらに多くの場所で導入することができるようになるだろうと担当者は語っていた。

空中映像と非接触センサが同期されるメリットを体験

実際にデモ展示されていたLa+ touchの前に立ってみると映像が浮き出て見え、空中でみえているボタン部分を押すと映像を動かすことができた。

  • 画面の正面に立つと映像が浮き出て見えるイメージ画像

    画面の正面に立つと映像が浮き出て見えるイメージ画像 (出所:TOPPAN)

非接触センサを搭載しており、筐体に触れることなく機器の操作を可能にすることで、機器の汚染を気にせず使用でき、感染対策とともに人手不足も改善できるメリットがあるが、ディスプレイと非接触センサの組み合わせだけでは非接触と気づかず触れてしまう可能性がある。La+ touchでは、空中映像とセンサの感知面が同期していることで直感的に理解できるため、操作のやり方がわからずパネルにじかに触れてしまうといった機会を減らすことができると実際に触れてみて感じることができた。

また、左右およそ15度ずつの視野角のため正面以外からは映像が見づらく、セキュリティ面においてものぞき見防止につながるなどの効果もあるという。

  • 斜めからみるとほぼ画面の内容はわからない

    斜めからみるとほぼ画面の内容はわからない

なお、La+ touchは2023年3月10日グランドオープンの複合施設「東京ミッドタウン八重洲」にも採用され、オフィスフロア各階のエレベーターホールに設置される予定だという。