TrendForceによると、DRAM価格の上昇が続いており、2024年第1四半期についても、契約価格は前四半期比で約13~18%ほどの値上がり幅となると予測されるという。
値上がりの牽引はモバイルDRAMで、その上昇率は最大23%と見積もられている。また、2024年通年でみると、需要見通しが不透明なこともあり、サプライヤ各社は需給バランスを維持することを目的に減産を継続させると見られ、それによる価格上昇もあるという。
PC DRAM
同四半期のDRAM契約価格をカテゴリ別にみると、PC DRAMについては、DDR5の発注が増加する中、賢明なバイヤーはDDR4の継続的な価格高騰に備え、調達を進めている。ただし、この動きはサプライヤ各社が徐々にDDR5に軸足を移していくことで、DDR4の調達量の拡大に不確実性を生じさせることとなる。とはいえ、DDR4とDDR5のいずれも価格はサプライヤの目標にまだ達していないことから、同四半期中も契約価格は10~15%ほど上昇する可能性があるという。
サーバDRAM
サーバDRAMのバイヤーは2023年、DDR4の在庫削減を戦略的に進め、DDR5への移行を促してきた。一方、サプライヤ各社は利益率を高めるためにDDR4の供給を戦略的に絞る一方、DDR5の生産を増やしており、第1四半期のサーバDRAMの契約価格はDDR5がけん引する形で同10~15%ほど上昇する見通しとなっている。
モバイルDRAM
第1四半期のモバイルDRAMの契約価格は歴史的安値にあるため、買い手は安全かつコスト効率高く在庫を積み上げる動きを見せている。このシナリオにより、モバイルDRAMの需要は衰えない見込みだが、スマートフォン市場の不確実性が長引くことを考慮しているサプライヤ側は慎重な生産対応をしており、増産への意欲は見せていない。また、半導体製造プロセスが複雑化し、製造完了まで時間がかかるため、需給バランスは緊張状態が続くこととなり、その結果、同四半期の契約価格は同18~23%の上昇率となる可能性がある。TrendForceでは、この市場は限られたサプライヤが市場を握っており、特にブランド意識の高い顧客によるパニック買いのシナリオでは、価格がさらに高騰する可能性もあるとしている。
グラフィックスDRAM
グラフィックスDRAMは、価格が継続的な上昇傾向にあるため、バイヤーは常に警戒して買いだめを行っている。中でも主流のGDDR6 16Gビット品に対する需要は依然として堅調であり、市場は価格上昇を受け入れる余地があることもあり、同四半期の契約価格は同10~15%の上昇率となるとTrendForceでは予想している。
コンシューマDRAM
コンシューマDRAMは、同四半期が業界のオフシーズンであるが、サプライヤの値上げの動きに対してバイヤーは早いタイミングでの仕入れの動きを見せている。2024年を通じてHBMとDDR5の普及が進む一方、利益率の低いDDR4が供給不足になると見られ、同四半期のDDR4に対する契約価格はDDR3比で10~15%ほど上回ると予想されるとTrendForceでは説明している。