板金加工機やレーザ技術、パワーエレクトロニクス分野までさまざまなソリューションを展開している独トルンプは2023年12月8日、日本における新たな技術拠点である「宮城テクニカルセンター」を宮城県・仙台市に開業した。
開業に先立つ12月6日にはオープニングセレモニーが行われ、日本法人であるトルンプの代表取締役社長を務める高梨真二郎氏や独トルンプ・ヒュッティンガ代表のブジ ラファエル氏などが出席。それぞれ挨拶を行ったほか、来賓として東京エレクトロン宮城の永関一也シニアフェローなどが登壇し、日本の半導体産業の現状やトルンプとの協力の歴史、今回の宮城テクニカルセンター開業にあたってのトルンプへの期待などを述べた。
同センターの建築面積は、従来施設の3倍となる約800m2。主に半導体製造装置の製造の際に使われる工作機械の修理や点検を行うための施設としての位置付けで、トルンプとしてエレクトロニクス事業を強化する目的で、半導体産業が盛んな仙台に拠点を移す形となった。整備費用は設置する機材を含め数億円規模としており、これまで拠点があった神奈川県・川崎市のテクニカルセンターは閉鎖される予定だという。
宮城県には同社の主要取引先である東京エレクトロン(TEL)が製造拠点を構えていることも、今回の拠点選びの大きな理由となっている。また、高梨氏は「半導体というと最近は熊本のイメージが強いですが、1カ所に片寄るのは高いリスクがあります。仙台には東北大学があり、学生の教育体制が整っているため半導体関連の優秀な人材が育ちやすく、新たな採用にもつながります。また、使用できる土地も多く、関東圏からのアクセスも良い。こうした意味でも仙台は半導体製造拠点としての土台がそろっている。東北には非常に大きな可能性を感じています」と大きな期待感を含めて語っていた。
同センター内にはキューブと呼ばれる点検スペースが川崎の旧センターの3.5倍となる11区画ほど用意されており、従来以上の点検作業頻度に耐えられる仕様となっている。しかし、すべての装置をマルチに修理・点検できる人材は現状、それほど多くなく、かつそれぞれの装置ごとに専門的な人材を確保する必要があるため、仙台には半導体関連企業が多いことから優秀な人材はそろっているとして積極的に従業員の増員を図っていくことを目指すとしている。具体的には、2024年6月までに従業員数を30名ほどまで増員することで、当面の半導体関連における各種電源ニーズに対応していくとしている。