ニコンは12月6日、同社史上最高の生産性、かつ重ね合わせ精度とスループットを高レベルで両立したクリティカルレイヤ向け露光装置としてArF液浸スキャナ「NSR-S636E」を2024年1月より発売することを発表した。

  • 準先端プロセス/三次元半導体向けArF液浸スキャナ「NSR-S636E」

    ニコンの準先端プロセス/三次元半導体向けArF液浸スキャナ「NSR-S636E」の外観 (提供:ニコン)

半導体デバイスの製造に対するニーズについては、従来のプロセス微細化のほか、近年はデバイス構造の三次元化という方向性も出てきており、露光装置にもそうした対応が求められるようになってきた。特に三次元半導体は、従来の半導体の製造に比べてウェハの反りや歪みが生じやすく、これまで以上に高い補正精度が求められるようになっているという。

同スキャナは、そうしたニーズへの対応として、露光前に高速・高精度にウェハの多点計測を行って、グリッドエラーの補正を可能にするインラインアライメントステーション(iAS)の計測精度を向上させることで、従来以上に高精度にウェハの反りや歪みなどの変形具合を計測することを可能としたことで、高い重ね合わせ精度(MMO≦2.1nm)を実現したとする。

また、スループットを1時間あたり280枚(96shot)に向上させたほか、ダウンタイムの低減などを図ることで、現行機種比で総合的な生産性を10-15%改善。同社の半導体露光装置として、最高水準の生産性を実現したという。

なお、同社では同露光装置について、半導体の高性能化の手法として今後さらなる技術開発が進む三次元半導体など、高い重ね合わせ精度が要求される半導体の製造プロセスにおいて生産性を損なうことなく優れたパフォーマンスを発揮するモデルとしており、準先端ロジックやメモリをはじめ、CMOSイメージセンサ、3D NANDなどの三次元半導体など多様化するニーズに対して最適なソリューションを提案していくとコメントしている。