ニコンは8月31日、同社としては25年ぶりとなる縮小投影倍率5倍のi線露光装置(ステッパー)「NSR-2205iL1」を2024年夏ごろより発売する予定であることを発表した。
露光装置の中でもi線はレガシープロセス向けのものとなるが、近年、パワー半導体の需要の高まりを中心に、通信用半導体やMEMS分野の需要の高まりもある中、これまで同社では中古装置のリファービッシュなどを行うことで対応を図ってきたが、旧来の縮小投影倍率5倍のi線露光装置の老朽化・需給ひっ迫を踏まえ、新製品の発売を決定したという。
NSR-2205iL1は、既存のi線露光装置との高い互換性を持たせることで、従来のi線露光装置で使用していたマスクやレシピなどの再利用を可能とし、既存装置との置き換えを容易にしたもの。多点オートフォーカス(AF)によるウェハ計測の高精度化とウェハステージのレベリング性能の高度化、Wide DOF(焦点深度の範囲拡大)などにより、さまざまな半導体の製造プロセスにおいて歩留まりの水準を維持しつつ、高い生産性を実現することを可能としたほか、ウェハの厚さや大きさ、反りの許容範囲が広く、SiCやGaNなどの次世代パワー半導体素材にも対応できるため、用途に応じた幅広い使用が可能だとしている。
また、部品の一部を特注品から市場で流通している汎用品に切り替えたことで、従来よりも部品の手配が容易になり、長期間安心して使用することができるようにもなったとしている。
なお、主な性能は以下の通り。
- 解像度 ≦350nm(オプション適用時)
- NA(開口数) 0.45
- 光源 i線(波長:365nm)
- 縮小倍率 1:5
- 最大露光領域 22mm×22mm
- 重ね合わせ精度 SMO(Single Machine Overlay):≦70nm(オプション適用時)