米NICEの日本法人ナイスジャパンは10月31日、「NICE CXone」(以下、CXone)のアップデート版について記者説明会を実施した。アップデート版では、生成AIを使用した新ブランド「Enlighten(エンライテン)」の新機能を追加し、コンタクトセンターのワークフロー全体を支援するという。
CXoneはコンタクトセンターの運用に必要な電話基盤の仕組みとアプリケーションを提供する、オムニチャネル対応のクラウド型コンタクトセンターサービス。CCaaS(Contact Center as a Service:コンタクトセンター・アズ・ア・サービス)とVaaS(Voice as a Service:ボイス・アズ・ア・サービス)の機能を備える。
新ブランドEnlightenでは、顧客向けの「Enlighten Autopilot」、エージェント向けの「Enlighten Copilot」、コンタクトセンター管理者向けの「Enlighten Actions」の3機能を公開する。
Enlighten Autopilotは消費者向けの会話型AIだ。コンタクトセンターが用意したナレッジとChatGPTを組み合わせて、セマンティック検索を実現している。セマンティック検索とは、検索エンジンがユーザーの意図を予測しながら検索結果を出力する方式。
金融機関のFAQページに搭載したチャットボットを例にすると、「口座を開設するために必要な情報は?」といった広い質問に対しても、質問者の意図を予測しながらChatGPTが回答を生成する。シナリオを作成するタイプのチャットボットとは異なり、定型の回答だけでなく自己解決を促すような情報提供も可能だという。
エージェント向けのEnlighten Copilotは、生成AIを活用してコンタクトセンターのオペレーターをサポートする機能だ。通話内容のテキスト化や、その内容の要約、相手の感情表示、回答支援などの機能を提供する。
コンタクトセンターに問い合わせをしてきた質問者との通話をリアルタイムでテキスト化しながら、適切な回答をAIがリアルタイムで自動生成する。リンクのURLをショートメールで送付するようなオムニチャネルでの対応も可能だという。終話後には通話内容の要約を作成し、対応を記録する。
3つ目は、管理者向けのEnlighten Actionsだ。コンタクトセンター内の情報を集約して、さまざまなKPI(Key Performance Indicator:重要達成度評価指標)を可視化する。さらに、管理者からの質問にはセマンティック検索によって回答を生成する。
管理者が「顧客満足度が最も低いコールのタイプは?」と質問すると、過去の対応記録をEnlighten Actionsが分析して可視化し、管理者が求めているであろう結果を返す。