NTT、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ、スカパーJSATの4社は11月27日(米国時間)、Amazon.comが提供する低軌道衛星ブロードバンドネットワーク「Project Kuiper(プロジェクトカイパー)」との戦略的協業に合意したことを発表した。

今回の協業の一環として、NTTとスカパーJSATはプロジェクトカイパーを日本の企業や政府機関・自治体に対して提供していくとしているほか、NTTグループ各社でも活用していくとしており、各社はプロジェクトカイパーを活用する形のレジリエンスと冗長性を兼ね備えた通信ネットワークを構築するための選択肢をユーザーに提供する計画だとしている。

一例として、NTTドコモでは、プロジェクトカイパーを活用することで、山間部や島しょ部などを含めた、これまでサービス提供が難しかった地域において自社のコアネットワークとの接続が可能となり、提供エリアのさらなる拡大を図ることができるようになると説明している。また、企業や政府機関・自治体向けには、これまで通信環境の確保が難しかったエリアにおいて、一次産業におけるIoT活用、建設機械の遠隔操作などの高度なソリュ-ションの導入が可能になるとしているほか、プロジェクトカイパー経由でAWSのクラウドサービスにアクセスし、AIや機械学習などを利用することも可能になるともしている。

さらに、NTTとスカパーJSAT、プロジェクトカイパーの3者は、地球と宇宙の間のシームレスな通信サービスに関する幅広い協業を模索し、日本のビジネスイノベーションを支援していくとしており、各社の研究開発や技術力、サービスやアセットを活用し、顧客の新サービス創出を支援することで、ヘルスケア、金融サービス、エンターテインメントなど多様な業界のさらなる発展を目指していくとしている。

プロジェクトカイパーは2023年10月7日に試作衛星2機の打ち上げに成功。11月17日にはこの2機を用いたテストミッションにて、衛星コンステレーションのアーキテクチャと設計の検証やネットワークを介した4Kビデオストリーミングと双方向ビデオ通話のデモンストレーションなどを100%の成功率で実施したことを明らかにしており、衛星とネットワークを構成する主要技術が有効であることを検証したことを報告している。

  • プロジェクトカイパーの試作衛星を載せたロケットのフェアリング

    プロジェクトカイパーの試作衛星を載せたロケットのフェアリング。打ち上げはユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)の「アトラスV」ロケットにて行われた (C) ULA

なお、Amazonでは2029年までに約3200機の衛星を低軌道に打ち上げることを計画しているほか、2024年下半期より、一部の顧客やパートナーを対象にベータテスト版サービスの提供を開始する予定としており、この試験にNTTならびにスカパーJSATも協業の一環として参加する予定だとしている。