米国のCHIPS法(CHIPS and Science Act)に基づき、米国の先端半導体研究の中心となる予定である「国立半導体技術センター(NSTC)」の理事会メンバー7人が選出されたことを米国商務省傘下のNIST(国立標準・技術研究所)が明らかにした。

2nmプロセス以降の次世代半導体の設計・製造に向けた先端設計、先端装置・素材の要素技術にかかるオープンな研究開発拠点としてNSTCと対となる日本の「最先端半導体技術センター(LSTC)」は2022年11月の時点で理事長(東哲郎ラピダス会長、元東京エレクトロン会長)を決定するなど、実働に向けた動きをこの1年続けてきたが、米国のNSTCについては、さまざまな理由からまだ設立に至っていない。

2023年4月に目指すビジョンと戦略が米国商務省傘下のNIST(国立標準技術研究所)から公表されたが、その組織化や人選に苦慮しており、今回、ようやくNISTに設置されたNIST理事選考委員会が理事会のメンバー7人が指名された。

今後、今回選出された理事会メンバーたちの手によって、NSTCを実際に運営し、経営幹部や研究者たちの雇用を行うことが期待される非営利団体の設立プロセスに着手することになる。また米商務省は、NSTCの運営を速やかに開始できるよう、新たに設立される非営利団体と資金提供契約を結ぶ予定としている。

なお、選出された理事会メンバーは以下の7名となっている(敬称略、順不同)。

  • James Plummer:スタンフォード大学電気工学科教授。1999年から2014年まで同大学工学部の学部長。同大学で博士号取得。NIST理事会の初代議長に就任することが決まっている
  • Craig Barrett:Intelで社長、CEO、取締役会会長などを歴任。スタンフォード大学で博士号取得
  • Nicholas Donofrio:IBMに44年間勤務し2008年に退職。元IBM理事会会長。シラキュース大学で修士号取得
  • Reginald Brothers:MITリンカーン研究所所長、AE Industrialの運営パートナー。米国土安全保障省の科学技術次官、米国国防総省研究担当副次官補などを歴任。南メソジスト大学で博士号を取得
  • Donna L. Dubinsky:最初に成功したハンドヘルドコンピューターとスマートフォンの先駆者であるPalm ComputingおよびHandspringのCEOとして知られる起業家。米国商務長官の上級顧問。ハーバード大学ビジネススクールでMBAを取得
  • Erica Fuchs:カーネギーメロン大学の工学および公共政策教授。National Network for Critical Technology Assessmentの創設ディレクター。マサチューセッツ工科大学で博士号取得
  • Robin Abrams:ZILOG暫定最高経営責任者(CEO)、VeriFoneのCEO、Apple Americasの社長などを歴任した経営者。ネブラスカ大学で学士号と法学士号を取得