日立製作所(日立)が10月27日に発表した2024年3月期第2四半期(7~9月)の連結決算は売上高にあたる売上収益が前年同期比13%増の2兆965億円、純利益が12%増の1445億円で増収増益だった。ITサービス事業やエネルギー事業を中心に受注が堅調に推移した。また為替の影響により売上収益は700億円押し上げられた。
ソフトウェアの設計や開発を手掛ける子会社の米GlobalLogic(グローバルロジック)の売上収益は21%増の調整後EBITA(利払い・税引き・一部償却前利益)は20%と高い収益性を維持し、増収増益を達成している。
同日の会見で執行役員副社長 CFOの河村芳彦氏は「大型事業を中心に受注が堅調に推移 している。GlobalLogicは大成建設と『建設承認メタバース』、アフラックと『キャンサーエコシステム』の構築に着手するなど、顧客との協創を加速している」と説明した。
デジタルソリューションの提供基盤「Lumada」事業の売上収益は21%増の5770億円だった。2023年5月に生成AI (人工知能)の安全・有効な社内外での利活用を推進する「Generative AIセンター」の設立以降、国内外で生成AI関連の受注が拡大した。
GlobalLogicでは米ソフトウェア会社から生成AI活用案件を受注したという。日立は現在、生成AIの適用によりシステム開発やカスタマーサービスの生産性向上を図る全社AIトランスフォーメーションプロジェクトを推進しているとのこと。
また、鉄道システム事業も大口案件の進展および案件構成差改善による収益性改善により売上収益は29%増の2046億円だった。鉄道システム事業を手掛ける傘下の日立レールは7月10日に英エンジェル・トレインズと、クラス802インターシティ車両19編成のメンテナンス契約を更新し、契約期間が8年間延長されたことを発表した。契約金額は2億4000万ポンド(約440億円)だった。
また、2024年3月期通期について、前回の見通しからすべての利益項目で上方修正するとした。通期の売上収益は9兆1500億円(前年比16%減)と前回予想の8兆8000億円から3500億円上方修正した。純利益は5200億円(20%減)と前回予想から200億円上方修正した。日立建機や日立金属、日立Astemoの再編の影響が続くとしている。