ファブレスIC設計会社ランキング、NVIDIAがトップに
TrendForceによると、2023年第2四半期のファブレスIC設計会社の売上高上位10社の合計額は前四半期比12.5%増の381億ドルとなり、四半期別の最高額を更新したという。
また、順位も世界的な生成AIに対する需要の急増を背景に、NVIDIAがQualcommおよびBroadcomを追い抜き、トップの座についたことも注目点となっている。特にNVIDIAのデータセンター向け売上高は同105%増という驚異的な伸びを見せており、ゲーム部門とプロビジュアライゼーション部門の成長と併せて同68.3%増の113億3200万ドルという高い伸びを示している。
2位に転落したQualcommは、スマートフォン(スマホ)部門が需要減少の影響、特にAppleからのモデム購入量の減少が影響し、売上高は同9.7%減の71億7400万ドルに留まった。前四半期2位から3位に転落したBroadcomもAI需要の増加に伴うハイエンドスイッチやルータの出荷増という恩恵があった一方、サーバストレージ、ブロードバンド、ワイヤレスの売上高が減少した結果、合計売上高は同0.2%減の68億9700万ドルに留まった。
4位以下の順位は前四半期から変化はない。注目は、7位の台Novatekと8位の台Realtekで、Novatekは顧客がテレビ関連の在庫の拡充を背景に、有機EL向けディスプレイドライバ(DDI)などの新製品投入を追い風に売上高は同24.7%増の9億8700万ドルと伸ばすことに成功。RealtekもPC関連の在庫拡充を追い風に売上高を同32.6%増の8億5600万ドルと伸ばすことに成功した。
第3四半期は記録更新レベルの高成長の可能性
TrendForceによると第3四半期に目を向けると、企業全体の在庫レベルは上半期よりも明るい状況を描いているが、エンドユーザーの需要減退が継続しているため、注意が必要であるとしている。しかし、クラウドサービスプロバイダ(CSP)、大手インターネットサービルプロバイダ、民間企業など多くの企業が生成AIや大規模言語モデルに期待を抱くなど、明るい兆しが見えてきており、そうした高付加価値のAI製品の勢いが増すにつれ、ファブレスIC設計大手10社の多くが第3四半期に2桁のプラス成長を達成し、合計額も記録を更新するレベルに高まる可能性があるとしている。
なお、このランキングは半導体事業の財務状況を公表している企業に限って集計したもので、中HiSiliconやAppleなど、非公表としている企業の数値は含まれていないことに注意が必要である。日本勢の姿はトップ10にないが、ソシオネクストが直近の四半期に614億円という好調な売上高を記録している。ただし、TrendForceではドルベースで計算しているため、円安の影響もあり、ドル換算すると10位のMPSをわずかに下回ったものと思われる。