TrendForceが、2023年第1四半期のファブレス半導体企業の売上高ランキングトップ10を発表した。
それによると、同四半期の半導体在庫削減は予想を下回り、伝統的なオフシーズンと重なったため、全体的な需要低迷につながった一方で、新製品のリリースと生成AI向けSoCの需要急増により、上位10社の売上高合計は前四半期比0.1%増の338億6000万ドルと横ばいとなった。
トップ10のランキングとしては、前四半期に9位に入っていたCirrus Logicがランク圏外に脱落。代わりに前回10位だった中Will Semiconductorが9位になり、10位にはMIPSが入ってきた。それ以外の順位に変動はなかった。
企業別ではAI関連が成長
トップのQualcommは、最新のフラッグシップチップ「Snapdragon 8 Gen2」を発売したことで売上高を伸ばした。そのためスマートフォン(スマホ)事業が前四半期比6.1%増となり、自動車およびIoTセクターの低迷を相殺した結果、同四半期の売上高は同0.6%増の79億4200万ドルとなった。
2位のBroadcomは、製品移行による利益の減少に加え、サーバストレージの需要減少、ワイヤレスセクターの季節的低迷などにより、売上高は同2.7%減の69億800万ドルに留まった。
3位のNVIDIAは、RTX 40シリーズの市場投入に加えて、生成AIおよびクラウドコンピューティングからの需要増加に後押しされた結果、同四半期の売上高は同13.5%増の67億3200万ドルと、2位のBroadcomに迫る規模となった。
4位のAMDは、一部のCSPによる在庫調整、マクロ経済の影響による企業支出の低迷、在庫調整やPC関連顧客のオフピークなどとさまざまなマイナス要因が重なった結果、組み込みおよびゲーム分野でプラスとなったものの、データセンター部門が同21.8%減、クライアント部門が同18.2%減となり、全体の売上高も同4.4%減となる53億5300万ドルに留まった。
5位のMediaTekは、テレビ関連での伸びがあったものの、スマホ市場の停滞の影響を受け、売上高は同8.8%減の31億4700万ドルに留まった。また、6位のMarvellも顧客とチャネルの在庫調整の影響を受け、同7.1%減の13億5400万ドルに留まった。一方7位の台Novatekは、テレビ分野での需要回復もあり、同10.7%増の7億9100万ドルとプラス成長となっている。
第2四半期はNVIDIA中心にプラス成長の兆し
第2四半期についてTrendForceでは、ICの在庫処分が予想よりも遅れているものの、2022年下半期の過剰在庫の時期とは対照的に、徐々に健全な水準まで回復していることに加え、新製品の投入により、一部のファブレス半導体企業がプラス成長を加速させる可能性があると予測している。
特に注目すべきはNVIDIAであるとしており、生成AIの注目度の高まりがAI半導体の急速な需要拡大を呼んでおり、それに伴い収益も急増することが予想されている。そのため、第2四半期のファブレス市場はNVIDIAが急激に存在感を増す可能性があり、その牽引力によって、ファブレス企業全体の成長につながる可能性があるとTrendForceでは指摘している。